オーロラ
4人の目の前に大きなタコが現れた。
あまりにものタコの大きさに、アルマスは圧倒されながらもタコを見上げている。
こんなに大きいなんて・・・・・まるで僕達が小人みたいだ。
いや、向こうからしたら僕達は豆粒くらいにしか見えていないかもしれない。
こんな大きなタコをどうやって倒したらいいんだろう?
アルマスがタコを見上げている隣でレオンも戸惑っていた。
「この間は遠くから見たけど、こうして近くで見るとこんなに大きいなんて・・・・・」
「レオン、確か前にもこのタコを・・・・・?」とアルマス
「見たよ」レオンはタコを見上げたまま答えた「でも、こんなに大きいなんて思わなかった」
するとレオンの隣でアレクシスがタコを見上げたまま
「やはりこいつか・・・・・」と敵意の表情を見せ、睨みつけている。
「アレクシス、前と戦った相手は・・・・・」
「今度こそ、あいつを倒す!先手必勝だ!」
「待って!」
アレクシスがタコに向かって前へ出て行こうとすると、アルマスが大声を出した。
「な、何だよ」
アレクシスの動きが止まり、アルマスの方を向くと、アルマスはこう言った。
「そのブレスレットの事だけど、話しておきたいことがあるんだ」
「どうかしたの?」とレオン
「人魚の話だと、ブレスレットの力は元々1つだったものを3つに分けたものなんだ。だから何度も攻撃には使えない」
「何だって?」
「じゃ、あまり使わない方がいいのか?2,3回程度なら使えるだろう」とアレクシス
「いや・・・・・・」アルマスは首を横に振った「1度しか使えない。しかもみんなのタイミングが合った時にしか力を発揮できないんだ」
アルマスは海の底のほこらで人魚に遭ったことを話し始めた。
「遺跡の力を受け取る前に、話しておきたいことがあります」
人魚はアルマスにそう話すと、続けてこんなことを言った。
「遺跡の力はひとつだとさっき言いました。それを3つに分けてあなた達に与えます。でもこの力には限りがあります。無限ではありません」
「と、言うのは・・・・・?」とアルマス
「3人で力をひとつにすれば、最大限の力を発揮します。ただそれは1度しか使えません」
「1度しか使えない・・・・・?じゃ、どうすればいいんですか」
それを聞いたアルマスが戸惑っていると、人魚は平然とした様子で
「3人のタイミングを合わせるのです。タイミングが合えば、力を発揮できるでしょう」
「タイミングって・・・・・それってどうすれば分かるのか・・・・・・」
「大丈夫です。3つの力が共鳴した時に光を放ちます。かなり強い光が・・・・・その時が最大限に力を使える機会です」
アルマスの話を聞いた2人は戸惑いを隠せなかった。
「何だって・・・・・・」とレオン
「力を使った攻撃は1度だけ、それもみんなのタイミングが合った時か・・・・・・」
アレクシスは後ろにいるタコをちらちらと見ながら険しい表情をしている。
「でも、タイミングが合ったら、光が出るんでしょう?分かりやすいんじゃない?」
いつの間にか話を聞いていたのかホーパスが3人の間に割り込んでいる。
「それはそうだけど・・・・・・・」
「仕方がない」レオンがそう言いかけている途中、アレクシスは吹っ切れたようにタコの方を向いた。
「その時を待つしかない。それまではそれぞれが今持っている力で攻撃していくしかないだろう」
「アレクシス、それはそうだけど・・・・!?」
レオンがアレクシスの方を向き、そう言った途端、大きくて長いタコの足が4人に向かってきた。
4人はその足をどうにか避けると、アレクシスは再びタコの方を向いた。
「向こうから来やがった。今から攻撃開始だ!」
アレクシスは大声を上げると、海の岩の向こう側にいるタコに向かって両手を突き出した。
両手からは大量の水がタコに向かって放出されていく。
アルマスがそれを見ていると、レオンも攻撃を開始した。
レオンの体からは風が出始め、ひゅうひゅうと音を立てている。
「どうなるか分からないけど、やるしかない・・・・あの化け物を倒すんだ」
レオンはそう言うと右手をタコに向かって出した。
レオンの周りを吹いていた風がタコに向かって強い風になって向かって行く。
アレクシスの水、レオンの風がタコに向かって行くのを見たアルマスは戸惑っていた。
今まで戦ったことがないからだった。
「アルマス!アルマスはどうするの?」
ホーパスが近寄って来ると、アルマスは右手にはめている指輪を見た。
指輪は何事もないかのように金色に光っている。
戦ったことがないけど、やるしかない。
今僕ができることはあのタコを倒すしかないんだ。
アルマスは意を決して、右手をタコに向けた。
指輪から炎の赤い光が出て、ある程度大きくなったところで右手をタコに向かって大きく振った。
指輪からは大きく細長い炎が放たれると、タコに向かって行った。
しかし3人がかりでも、大きなタコは全くびくともしなかった。
タコの体には水、風、炎が当たっているが、タコは全く反応を見せない。
「全く反応しない・・・・攻撃は全て当たってるのに」
レオンがタコを見つめながら戸惑っていると、アレクシスはタコを見ながら
「攻撃が効いてないのはばらばらに当てているからかもしれない。向こうからしたら痛くもかゆくもないだろう」
「なら、どうすれば・・・・・」
「1箇所を集中攻撃するしかない。時間はかかるだろうがその方が確実だろう・・・・・!?」
アレクシスが途中まで言いかけた途端、2人の目の前にタコの足が現れた。
2人は足から逃げ、ある程度距離を置くと、アレクシスは足を見て声を上げた。
「まずはこの足から攻撃だ!」
アレクシスは足先ではなく、海から出ている足に向かって両手を出した。
両手からはザザーっという音とともに細くて長い水が出ている。
アレクシスの水が足に当たると、その足がびくっと大きく動いた。
痛がっているのか足がバタバタと上下左右に暴れている。
「効いているみたいだが・・・・・足が大きいからなかなか切れないな」
水を出し続けているアレクシスだが、表情が険しくなっている。
そこにアルマスがやってきた。
アレクシスの隣に来ると、足に向かって炎を出し始めた。
炎が足に当たった途端、足の動きはさらに激しくなった。
「攻撃が効いてるみたいだ!」ホーパスが3人の上から足の動きを見ながら声を上げた「それにもう少しで足が切れそう!」
「よし、この足を吹っ飛ばそう」
レオンは体から風を出すと、右手を目の前にある足に向けた。
レオンから渦を巻いた強風が離れると、強風はたちまち足を巻き込んだ。
足を強風が遠くへ連れ去ってしまうと、アレクシスは強風を見ながらつぶやいた。
「まずは1本・・・・・・あと7本か」
「まずは足を切っていくしかないね」
レオンが2人に向かってそう言うと、アレクシスは辺りを見回しながら
「ああ、でも気をつけろ・・・・さっきは他の足が出てこなかったからうまくいったんだ」
「そうか。他の足・・・・しばらくはやっかいだね」
「でも、さっきの攻撃を繰り返して足を全部切り落とせば、あとは本体だけだ・・・攻撃はある程度楽になるはずだ」
「分かった。2人が足を切っている間、他の足が来ないように、僕は強風を出して邪魔させないようにするよ」
「分かった」
「それにしてもあのタコ、なかなか攻撃してこないね」
ホーパスが海の岩の向こう側にいるタコを見ている。
アルマスはホーパスを見て
「さっきの攻撃を見て、様子を見ているかもしれない・・・・足を1本切られたんだから」
「でも、あと7本あるんでしょう?1本ぐらいでそんな・・・・」
「来たぞ!」
アレクシスが気配を察したのか突然大声を上げた。
海から突然大きな足が出てくると、3人は素早く後ろへと逃げて行った。
タコの足から逃げて3人が攻撃に行こうとすると、前から大声が聞こえてきた。
「・・・・ホーパスの声だ!」
アルマスは周りにホーパスがいないと分かると、タコの足がある場所へと再び走って行った。
「おい、周りに気をつけろ!」
アレクシスがアルマスの後を追うと、レオンも続いて走り出した。
3人が再びタコの足のところへ着くと、ホーパスが3人の方を振り返った。
「あ、アルマス!」
「ホーパス・・・・・!」
アルマスはホーパスの姿を見て困惑した表情を見せた。
ホーパスが大きなタコの足に体を巻かれているのだ。
アレクシスはホーパスの姿を見た途端、驚きの表情を見せた。
「大丈夫か!今助けてやる」
「ホーパス、大丈夫?苦しくないの?」
レオンもホーパスを心配そうに見ていると、ホーパスは余裕の表情を見せた。
「え?全然苦しくないよ」
「え・・・・・?だって足が体に・・・・・」
「だって僕、幽霊だから。こんなのすぐ抜けられるよ・・・・・ほら」
ホーパスはそう言うと、すんなりとタコの足から上へと抜け出した。
「ホーパス・・・・・よかった。あまり心配かけないでよ」
アルマスがほっと胸を撫でおろしていると、ホーパスはタコの足の上に乗った。
「僕が幽霊だってのを忘れてない?アルマス」
「すっかり忘れてたよ。でもよかった何もなくて」
「じゃ僕も反撃しようかな。このタコって食べられるの?」
「うん。こんなに大きいのはどうかなって思うけど。食べられるよ」
「そうなんだ。じゃ味見してみるよ」
ホーパスはタコの足を見た途端、口を大きく開けてガブリとかみついた。
しかしタコは痛くもかゆくもないのか、じっとしたまま反応しなかった。
「あ、あれ?痛くないのかな・・・・よし、これからどうだ!」
ホーパスは次に手足の爪を立てて、タコの足をひっかき始めた。
すると最初は動かなかった足が痛いのか左右に動き出した。
大きく左右に動いてホーパスを振り払おうとしている。
「攻撃が効いてるぞ!今のうちにこの足も片づけるんだ」
アレクシスが動き回っている足を見ると、アルマスは足に向けて炎を出し始めた。
アレクシスも強い水圧で水を足に向けて攻撃し、だんだん足が切れそうになるとレオンが頃合いを見て強風を足に向けて当てた。
「これで2本飛ばしたぞ!あと6本か」
風で飛ばされていく足を見ながらアレクシスがつぶやいた。
その頃、遺跡の中では祈祷が続いていた。
シーラが目を閉じ、呪文のようなものを唱え続けていると、急に目の前が明るくなっていくのを感じた。
シーラがゆっくりと目を開けた途端、後ろにいる漁師達がざわめきだした。
「あ、あの像が光り出したぞ!」
「こっちの像もだ!」
漁師達の言葉を聞いたシーラは左右をゆっくりと見渡した。
「こ、これは・・・・・・・!」
像を見た途端、シーラはゆっくりとその場から立ち上がった。
両側に置かれている石像の目が青白く光っている。
ざわめいている漁師達に目を移すと、シーラは漁師達に向かってこう言った。
「ついに遺跡の力が解放されようとしている・・・・このまま祈り続けるんじゃ」
漁師達が静かになると、シーラは前を向いてゆっくりと座った。
そして再び目を閉じて祈り始めると、両側の像の光はだんだんと強くなり、増幅されていくのだった。
外では4人が次々とタコの足を攻撃していた。
しかし時間が経つうちに4人に疲れが見え始めた。
「よし、また足を片付けた」
レオンが強風でタコの足を遠くへ飛ばすと、ホーパスはそれを見ながら
「あと何本あるんだっけ?」
「残りは・・・・・あと3,4本くらいだろう」
アレクシスも遠くへ飛ばされていく足を見ている。
「まだ半分くらいあるの?なんだか疲れてきた」
それを聞いたホーパスがげんなりとした表情をしている。
「1本づつ足を切っているから時間がかかってる・・・・・でも今は足を全部切らないと、攻撃されたらこっちが不利だ」
「なんとか一気に倒せる方法があれば・・・・・」
アルマスがそう言いかけた時、後ろでレオンの叫び声が聞こえてきた。
「レオン!」
アルマスが後ろを振り返ると、レオンがタコの足に体を巻かれている。
レオンを巻き込んだ足がゆっくりと海へと戻って行こうと動いている。
「海に引きずり込むつもりだ。そうはさせるか!」
アレクシスはすぐにレオンを巻き込んでいる足の側に行くと、水をその足に向け攻撃を始めた。
アルマスはすぐ上にいるホーパスを見ると
「ホーパス、他の足がこっちに来ないか見ててくれる?」
「うん、わかった」
ホーパスがうなづいて辺りを見回していると、アルマスも足の側へと移動した。
「レオン!今助けるから」
アルマスがレオンに声をかけると、レオンは苦しそうな表情をしている。
アルマスはレオンの体を巻いているところから手前の足を見ると、炎を出し始めた。
水と炎の攻撃に足がたちまち切断されると、足の締め付けがなくなったのかレオンはすぐに体から強風を放ち、足から離れた。
「レオン!大丈夫?」
アルマスが心配そうにレオンの側に来ると、レオンはうなづいた。
「うん、なんとか・・・・・ありがとう助けてくれて」
アレクシスもレオンに近づき
「ケガはないか?」
「うん、大丈夫。苦しかったけど今のところはどこも痛くはないよ」
「そうか」アレクシスはレオンを見ると、海にいるタコに目を移した。
「しかしこのままだとみんな体力が持たなくなる・・・・・どうすればいいんだ」
「アレクシス・・・・・・」
レオンがそう言った途端、突然後ろからまばゆいくらいの大きな青白い光が放たれた。
「うわっ・・・・・・!?」
あまりにもの眩しい光に4人は思わず目をつぶった。
青白い光は空一面を覆いつくした。
しばらくしてアルマスが目を開け、空を見るとさらに驚いた。
青白い光が消えて、薄い青のカーテンのようなオーロラが広がっている。
あれはオーロラ・・・・・・?
さっきの光は?
するとすぐ側でレオンの声がした。
「あれは・・・・・?」
アルマスがその声に気がついてみると、レオンも空を見上げている。
「オーロラだ!」ホーパスはふわふわと浮きながらオーロラを見ながらはしゃいでいる。
アレクシスはオーロラを見ながら後ろにある遺跡に目を移した。
遺跡の岩の隙間からオーロラと同じ色の光が出てきている。
「オーロラの光・・・・・まさか遺跡から出てるのか?」
アレクシスが戸惑っていると、そこにシーラがゆっくりと現れた。
「遺跡の力じゃ・・・・・ついに遺跡の力が解放された」
「おばさん!」
レオンがシーラの姿を見ていると、他の3人もいっせいにシーラの方を向いた。
シーラは4人のところに来ると、海にいるタコを見た。
「あのタコを見るんじゃ!」
4人が言われたまま海を見ると、タコも空に広がっているオーロラを見上げている。
タコの動きはすっかりと止まり、タコはずっとオーロラを見ている。
シーラはタコから4人に視線を戻した。
「どうやらあのタコはオーロラを恐れているようじゃ。得体の知れないものが空に浮かんでいるからのう」
「そういえば、タコの動きが止まってる」
レオンがタコをじっと見つめていると、シーラはうなづいた。
「攻撃するなら今のうちじゃ。遺跡の力が解放されている間にあの化け物を倒すんじゃ」
「よし」アレクシスがタコを見ながら続けてこう言った「あのオーロラが出ている間に勝負をつけるんだ!」
シーラが再び遺跡の中に戻って行くと、4人はタコへの攻撃を始めようとした。
「どうする?残りの足を全部切り落とすか・・・・・」
タコの様子を見ながらレオンが聞いた。
アレクシスもタコを見つめながら
「あと残り3本くらいのはずだ。足が少なくなってきたから向こうも攻撃する機会を狙ってくる」
「空が急に暗くなってきたよ!」ホーパスが空を見上げると声を上げた。
「本当だ、急に天気が悪くなってきた」
アルマスも空を見上げると、空は真っ暗になり、冷たい風が吹いてきた。
オーロラはまだ空を覆っており、消えてはいない。
天候が荒れだし、間もなく空から雨が降ってきた。
さらに雷まで落ち始め、嵐になってきている。
「これからっていう時にこんなにひどくなるなんて」とレオン
「雨で視界が悪くなってる」アレクシスは辺りを見回すと海のタコに視線を戻した「気をつけろ。いきなり足がこっちに来るかもしれない」
「足もだけど雷もだ。どこに落ちるか分からない」
「このままじっとしていても仕方がない。そろそろ攻撃するぞ」
アレクシスが両手を海にいるタコに向けると、再び攻撃を始めた。
それを見たレオンも強風を出し、攻撃を始めている。
2人の攻撃を見たアルマスも続いて攻撃しようとすると、海から何かが上がってくるのが見えた。
「タコの足だ!」
アルマスが大声を上げると、タコの足が高々と海面から空を上がっていく。
そして4人がいる場所へと伸びて行こうとした時だった。
空から大きな雷がその足へと落ちたのだ。
雷は足を伝って、タコの体まで包み込むと、大きな光の塊になった。
しばらくして雷の光が消えると、タコは痺れたのか動かなくなった。
4人へ向かおうとしていた足もゆっくりと海面へと落ちていく。
それを見たレオンは足に向けて強風を放った。
海面へと落ちかけていた足が強風にあおられ、再び上へと上がっていく。
「今のうちだ!今のうちにあの足を切り落として!」
レオンがそう叫ぶと、すかさずアレクシスが足に向かって大量の水を放った。
アルマスも足に向かって炎を出し、しばらくして切り落とされた足はレオンの強風とともに遠くへと飛ばされていった。
「これで足は残り1,2本のはず、もはやあのタコは最低限の動きしかできないはずだ」
アレクシスは再びタコを見ると、再び攻撃を始めた。
「残るは本体だけだね」とレオン
「まだ雷で動けないはずだ。今のうちに倒すしかない」
「もう少しで倒せる。本体を集中攻撃だ」
レオンが攻撃を始めると、アルマスも続いて攻撃を始めようとした。
ホーパスがアルマスに近づくとこんなことを言った。
「アルマス、僕も攻撃するよ」
「どうやって?もうあのタコの体しかないよ」とアルマス
「この大きな口と手足の爪で攻撃するんだ」
ホーパスがアルマスに自分の手足に伸びた鋭い爪を見せている。
「ホーパスは幽霊だから攻撃されても大丈夫だと思うけど、気をつけてね」
「うん、大丈夫だよ!この爪であのタコを引っ搔いてやるんだ。行ってくるよ」
ホーパスは自信満々に答えると、タコがいる場所へと向かって行った。
アルマスが攻撃を始め、3人でタコの体に向かって攻撃をするが
攻撃している箇所がばらついているせいか、攻撃が効いていないのかタコは何の反応も見せない。
「まだやっつけられないのか?攻撃は当たってるはずなのに」とレオン
「ああ、集中攻撃してるはずだが、当たっている箇所にばらつきがあるのかもしれない」とアレクシス
「もしかしたら僕が出している炎とアレクシスさんの水が向こうでぶつかって蒸発して消えているかもしれない」
アルマスがタコに向かって炎を出しながら言った「そうならないように場所を変えて攻撃してるつもりだけど」
「そうか。火と水が同時にぶつかったら消えてしまう・・・・」とレオン
「オレもそれは意識してるつもりだ。水と炎がぶつかったらそれぞれの力が相殺されてしまう」とアレクシス
「一体、どうすれば・・・・・何か方法があれば」
一方、ホーパスはタコの頭の上までやってきた。
タコの体のところどころに3人が放つ水、炎、風が当たってきている。
ホーパスはタコの頭の上に乗ろうとしたが、そこにアレクシスが放った水が迫ってきた。
「おっと、危ない・・・・頭に乗らない方がいいかも」
ホーパスは水を避けると、タコの頭の辺りをふわふわとさまよっている。
「前の方がいいかな。どうせタコからは僕の姿は見えないし」
ホーパスはしばらくするとタコの目の前へと移動した。
タコの大きな黒い目の前を通り過ぎ、目と目の間の顔の真ん中で止まると、すぐ下にタコの口のような突起物があるのが見える。
「何だろう?口かな」
ホーパスがその突起物の前に顔を向けると、中から真っ黒なスミが出てきた。
「うわっ・・・・・・・!」
正面からスミをまともに受けたホーパスは顔から体半分が真っ黒になった。
それを見たアルマスは驚いた。
「ホーパス!」
「真っ黒になっちゃったよ!」自分の手足を見ているホーパス「攻撃しようと思ったらやられた!」
「ホーパス!大丈夫?戻ってきて!」
「今度はスミか」真っ黒になったホーパスを見てアレクシスは再びタコを見た「足がなくなってきたからスミで攻撃するつもりだ」
「あのタコのスミは当たっても大丈夫なの?」とレオン
「たぶん少しぐらいなら問題ない。オレ達にスミを当ててその間に逃げるつもりなのかもしれない」
「そうか、でもそのくらい追いつめてるってことだね」
「ああ、もう少しだ。ここであきらめるわけにはいかない。そろそろ決着をつけないと」
2人が再びタコに向かって攻撃を始めた。
アレクシスがタコの頭に向けて水を放出し、アルマスがその水に当たらないようにタコの体の下、海面ギリギリのところを
狙って炎を出している。
レオンは攻撃をせず、考えていた。
攻撃は確かにあのタコに当たっている。
1箇所に集中して当てて行けば確実に倒せるはず。
でも炎と水じゃ相殺されて力が消えてしまう。
一体どうすれば・・・・・・。
すると突然アレクシスが叫んだ。
「あの突起物がこっちに向いてる。またスミがこっちに飛んで来るぞ!」
レオンはタコを見ると、タコには変わらず水と炎が当たっている。
突起物が3人に向いているのを見ると、レオンはとっさに体から強風を放った。
「そうはさせるか、風で飛ばしてやる!」
そして右手をタコの突起物に向けると、強風はそこに向かって行った。
タコはスミを出そうとしたが、レオンの強風に当たり、スミがそのままタコの体にかかった。
上はアレクシスの水、下はアルマスの炎と攻撃が縦に当たっている。
しばらくするとタコは攻撃が効いたのか、動きが鈍くなり突起物からはスミが出なくなった。
「アルマス!」
ホーパスが体半分スミで黒いまま戻ってきた。
アルマスは攻撃を止め、ホーパスを見ながら
「ホーパス、大丈夫?海に入ってスミを落としたら?」
「うん・・・・・?」
ホーパスが海を見ると、そこにどこからか水がホーパスにかけられた。
「大丈夫か?」
ホーパスの体に水をかけながらアレクシスが声をかけた。
「うん」ホーパスはうなづいた「ありがとう。すっかりきれいになったよ!」
体からスミが消えたホーパスは体をブルブル震わせ体から水を払うと、きれいになった体をすみずみまで見ている。
「ところでさっきの攻撃で動かなくなったようだな」
アレクシスがタコに視線を移すと、アルマスもタコを見ながら
「うん。さっきまでは攻撃が効いてるか分からなかったけど・・・・・」
「自分のスミを浴びたからじゃないの?」とホーパス
「・・・・そうじゃないと思うけど」
「さっきまでの攻撃を考えてたんだけど」そこにレオンが割り込んできた「さっき、みんなの攻撃が重ならなかったんだ」
「重ならなかった?」とアレクシス
「うん、縦一線で攻撃したんだ。アレクシスが上、僕が中央、アルマスが下・・・突起物は飛ばせなかったけど」
「それは風の向きが・・・・・」
「うん、分かってるよ。スミがこっちに来ないようにとっさに動いたから」
アレクシスの言いたい事が分かっていたのか、レオンはうなづきながら続いてこうも言った。
「風に動きをつければ飛ばせたと思う。さっきはそこまで考える余裕がなかったんだ」
「せめてあのタコを吹き飛ばすことができれば・・・・・」
アレクシスは再び視線をタコに移し、動かないタコを見ている。
「あの大きいタコを吹き飛ばす?そんなことできるの?」
ホーパスもタコを見ていると、隣でアルマスもタコを見ながら
「難しそうだけど・・・・・」
「吹き飛ばすか、海の底に沈ませるかだな」とアレクシス「とにかくまずは倒すのが先だ」
すると海にいるタコがゆっくりと動き出した。
再びスミをかけようとしているのか、突起物を3人がいる方へ向けている。
「動き出した!またこっちにスミをかけようとしてる!」とホーパス
「懲りない奴だな」アレクシスが両手をタコに向けた「さっきと同じ攻撃をしていけば倒せるかもしれない。とりあえずもう1回だ」
3人は顔を見合わせると、うなづいて再びタコに向けて攻撃を開始した。
しばらくするとレオンはある事に気がついた。
アレクシスがタコの頭、アルマスは体を攻撃しているが、アレクシスが出している水が下へと落ちていく。
水が上から降りていくと、下の炎が消えてしまってるんじゃ・・・・・。
それに海からの水も波が大きいと炎を消してしまう。
水と炎の位置を逆にすれば・・・・・。
「アレクシス!アルマス!」
レオンが2人の名前を呼ぶと、2人はいっせいにレオンを見た。
レオンはまずアレクシスを見ながら
「アレクシス、攻撃する位置を下に変えてみて。アルマスは上に変えるんだ」
「つまり上下を逆にするのか?」とアレクシス
「うん。水が下にある炎を消している気がする。それでも大きい炎だけど・・・・少しでも炎を消したくないんだ」
「分かった」
「うん、分かったよ。レオン」
アレクシスに続いてアルマスもうなづくと、2人はいったん攻撃を止めた。
そして攻撃する位置を変えて攻撃を再開しようとした時だった。
タコがいきなり3人に向けて足を伸ばしてきたのだ。
「何・・・・・!?」
アレクシスは既に両手からタコの体に向け水を出している。
「ダメだ、いきなり方向を変えるなんてできない」
アルマスも炎をタコの体に向けている途中で対応が追いつかない。
「レオン!なんとかできるか!?」
「なんとかやってみる」レオンが迫ってきているタコの足を見つめながら、体から強風を出し始めた。
レオンが足に右手を向けようとした時、目の前が突然真っ白になった。
「え・・・・・?」
レオンが何が起こったのか分からず、動きが止まった。
そして光が消えると、迫っていた足が消えている。
レオンが戸惑っていると、ホーパスの声が聞こえてきた。
「雷だ!また雷がタコに落ちたんだ!」
「え・・・・・?」
レオンが海を見ると、タコが動かずぐったりとしているように見える。
さっきまで見えていた足も海に消えたのか、辺りを見回してもどこにも見当たらない。
「アルマス、タコに雷が落ちたの?」
レオンがアルマスに聞くと、アルマスはレオンの方を振り返った。
「うん。後ろの方からいきなり足に落ちたように見えたけど・・・・・」
「とにかく助かったな」アレクシスもレオンを見ながら声をかけてきた「雷が落ちてなかったらどうなってたか」
「じゃ、今はタコは動いてないんだね」とレオン
「ああ、でも足だけに落ちたみたいだったから、また時間が経てば動き出すかもしれない」
するとホーパスが再び上の方で声を上げた。
「オーロラがいつの間にか色が変わってる!」
「え・・・・・?」
3人がつられるように空を見上げると、空に広がっているオーロラはまだ消えてはいなかった。
薄い青だった色がいつの間にかパープルに変わり、カーテン状にゆらゆらと揺れながら空を覆っている。
今まで振っていた雨もいつの間にか止んでいた。
ホーパスが辺りを見回していると、遺跡の岩の上に1人の人の姿が見えた。
「あれは誰だろう・・・・・?」
その人は上半身裸で白い布を腰から下にまとい、右手には大きくて長い杖のようなものを持っている。
黒髪の短髪で、がっしりした体つきの中年の男性のような後ろ姿をしていた。
ホーパスがその人を見ていると、右手にある杖を大きく空に向かって振った。
すると間もなく空から海にいるタコに向かって雷が落ちたではないか。
「え・・・・・?もしかして雷を落としているのは・・・・・・」
それを見たホーパスが再び遺跡の岩の上を見ると、男性の姿は消えていた。
「あっ・・・・・!」
アルマスがふと右腕にはめているブレスレットを見ると、青白く光り始めた。
「ブレスレットが光ってる!」
レオンがそれを見て、自分のブレスレットを見ると同じように光っている。
アレクシスも右腕を見ると、2人を見てうなづいた。
「ついにこの時が来たようだな」
「うん」アルマスがうなづくと続けてこう言った「今なら最大限の力を出せる。次で決めないと・・・・・」
「ああ、最後の1撃だな」
「それで、考えたんだけど」レオンが何か考えがあるのかこう切り出した「僕の考えた作戦を聞いてくれる?」
アルマスとアレクシスがうなづき、レオンがもっと近くに来るように手招きすると、3人は近づいて何かを話し始めた。
しばらくしてレオンが話を終えると、アルマスとアレクシスはうなづいた。
「分かった。それでやってみよう」とアルマス
「それなら最大限の力を出せそうだ。さっそくやろう」
アレクシスが後ろを振り返り、海のタコを見ている。
タコはまだ雷のダメージが大きいのか、なかなか動かない。
アルマスがまずタコに向かって炎を出し始めた。
ブレスレットの力で炎が今までよりも大きく、太い火柱のように見える。
それを見たアレクシスは驚きながら
「これがブレスレットの力か・・・・・オレも続くぞ!」と両手をタコに向けて出した。
アレクシスの両手からは今までよりも遥かに大きく、勢いのある水柱のような水が飛び出してきた。
2人の出している炎と水を見ているレオンは圧倒されながら
「すごく大きい炎と水だ・・・・・でもうまくやれる自信はある!」と体から大きな風を出した。
風がレオンの目の前で止まると、レオンは両手を前に出し、何度も両手を交差させた。
風はレオンの両手に合わせるように左右に動き出し、しばらくすると大きな竜巻へと変わっていく。
「よし、これでいい・・・・・竜巻よ。水と炎を取り込んで大きくなるんだ!」
レオンが竜巻に向かって声を上げると、竜巻が海へと動き始めた。
竜巻は海に出ると、たちまち水と炎を巻き込んでいった。
水と炎の力を取り込んだ竜巻はだんだんと大きくなり、タコへと向かっていく。
「これでどうだ・・・・・・・!」
竜巻の行方を見ているアレクシス
するとそこに空から大きな雷が落ちてきた。
雷は竜巻の中に入ると、竜巻が雷を取り込み、さらに大きくなっていく。
「また雷が落ちた・・・・・あっ」
ホーパスが海から再び遺跡の岩の上を見ると、さっきの男性らしき人物の姿があった。
雷が竜巻に取り込まれていくのを見届けると、その場からすっと姿を消した。
こうして水、炎、雷を巻き込み、大きくなった竜巻は海上にいるタコに向かって突進して行った。
竜巻がタコの体に当たったかと思うと、たちまちタコの大きな体を包んでいく。
アルマス達がタコを巻き込んだ竜巻の様子をじっと見つめていると、ホーパスがあっという声を上げた。
「竜巻が・・・・・!だんだん上に上がって行ってる!」
「え・・・・・・!」
ホーパスの声にアルマスが竜巻を見続けていると、竜巻がだんだんと上へと上がり始めた。
竜巻はタコの体を完全に取り込み、海からゆっくりと浮き上がって行く。
大きな音を立てながら上がっていく竜巻からは1本だけ残っているタコの足が下にだらんと下がっている。
「あの化け物の体が浮き上がっていく・・・・・!」と驚きの表情で竜巻を見ているアレクシス。
竜巻は海の上にしばらく留まっていたが、ゆっくりと後ろへと移動を始めた。
竜巻の中は相変わらず渦を巻いたまま、炎や雷、タコの体をぐるぐると巻き込んでいる。
最初は竜巻の下に下がっていた足も、だんだんと竜巻の中に取り込まれていき、最後は完全に竜巻の中に入り見えなくなった。
4人は竜巻の行方を黙ったまま見守るように見ている。
竜巻はゆっくりと4人から遠ざかるように海上を移動していく。
そして4人の目からは竜巻が小さく見えてきた時、突然竜巻が音を立てて爆発した。
竜巻からはタコの体と思われる破片らしきものが次々と海へと落ちていく。
そして竜巻が消え、空を覆っていたオーロラが消えると、空はすっかり暗くなり夜空になっていた。
「やった・・・・・・!」
アレクシスは竜巻が消え、辺りが静かになると思わず声を上げた。
「倒したんだ!あのタコをやっつけたんだ!」
嬉しそうに何度もその場で飛び跳ねているホーパス
「終わったんだ・・・・・・」と胸を撫でおろしているレオン
「終わった・・・・・よかった」
アルマスはほっとしながらも、竜巻が消えた場所をしばらく見つめているのだった。
3人の腕からはいつの間にかブレスレットは消えていた。
その後、アルマス達はシーラと漁師達と共に船に乗り村へと戻って行った。
漁師達は村に戻ったかと思うとすぐ遺跡へ戻り、タコの破片がある場所に行くと、大量のタコの破片を船に乗せて戻ってきた。
タコの破片が多すぎて、漁師達が次から次へと遺跡に行って取りに行くほどだった。
またそのタコの破片が多すぎて、漁師達は村の人々に売るだけではさばき切れず、煮たり焼いたりするなどして無料で村人達にふるまう
ことになるほどだった。
数日後の朝。
アルマスとレオンはウインドに行くことにした。
「お前達、もう行くのか。もう少しゆっくりしていけばいいのに」
アルマスとレオン、ホーパスが寺の外に出ると、シーラがゆっくりとした足取りで玄関から外に出た。
アルマスはシーラに頭を下げながら
「いいえ、長い間お世話になったので・・・・」
「またヴァッテンに来る時はここにおいで。いつでも歓迎するよ」
「おばさん、ありがとう」
レオンがシーラに声をかけると、シーラはアルマスからレオンに視線を移し
「レオン、今回はいろいろと世話をかけた。またこれに懲りずにおいで」
「うん。あの化け物がいなくなってよかった。これでまたこの村も平和になるね」
「ああ。これでこの村もまた人が戻ってくるじゃろう」
「ところでアレクシスは?」
「ああ・・・・あれからアレクシスも心を入れ替えたんじゃろう。毎朝漁師達と一緒にあの遺跡に行くようになった」
「え、あの遺跡に行ってるの?」とホーパス
「そうじゃ」シーラは深くうなづいた「漁師達が安全に漁ができるよう、毎朝お祈りに行っているようじゃ。その後漁師達と一緒に漁をしている」
「そうなんだ・・・・」とレオン
「今回のことでアレクシスは成長した。心も体も・・・・・人生何が起こるか分からん。でも懸命に乗り越えて行けば、人はいくつになっても
成長していけるんじゃ。今回、自分も改めて実感した」
「・・・・・・・・」
「おっと、そろそろあの村長が来る頃じゃな。準備をしなくては・・・・・みんな、またおいで」
「うん。また来るよ。おばさん」
シーラが黙って3人に向かって手を振ると、3人も手を振ってその場を後にした。
シーラの寺を出た3人は海岸に出た。
レオンは背中に荷物を乗せた馬を連れて立ち止まると、アルマスに聞いた。
「アルマスはこれからどうするの?」
「ウインドに行くよ」アルマスはレオンの側にいる馬を見上げた「レオンは馬に乗ってウインドに戻るの?」
「うん。アルマスも馬に乗せたいけど、荷物を乗せてるから・・・・」
「いいよ、気にしないで」レオンが話している途中でアルマスは首を振りながら答えた。
レオンは申し訳なさそうに
「もしかしてここから歩いて行くの?ここは車はあまり走ってないし・・・・・」
「歩いて行くとどのくらいかかるの?」
「え、歩いてだと・・・・・・」
レオンが戸惑っているとホーパスがアルマスに近づいてきた。
「アルマス、マリアさんからもらったものがあったでしょ?」
「マリアさん?・・・・・あ、そういえば・・・・・・」
アルマスは思い出したようにズボンのポケットに両手を突っ込んだ。
そして右手から小さな白い羽をひとつ取り出した。
アルマスは白い羽に向かって言った。
「ウインドへ!」
すると白い羽はアルマスの右手から離れ、アルマスの目の前で大きくなった。
レオンは大きくなった白い羽を見た。
「それ・・・・・確かヒメルにある羽だよね?」
「レオン、知ってるの?」とアルマス
「うん。持ち運びができるって聞いたことがあるんだ。実際に見たのは初めてだよ」
「ヒメルにいた時にもらったんだ。僕も乗るのは初めてだよ」
「それだったらすぐにウインドに着くかもしれない。移動が速いって聞いたことがあるよ」
「そうなんだ」
「じゃ、またウインドで会おう」
レオンはそう言った後、馬に乗り込んだ。
レオンを乗せた馬が走り出すと、アルマスは白い羽の羽軸から下に伸びている部分を見た。
先が丸くなっており、1人が座れるようになっている。
アルマスが座ってみると、ぴったりと体に合った感じになった。
「その羽、1人しか座れないの?」
ホーパスがアルマスに近づいてきた。
「そうみたいだね。ホーパスはどうする?ホーパスの分も出そうか」
「出さなくていいよ。僕はアルマスの周りを飛んでるから。それか膝の上に乗ってる」
ホーパスはアルマスの膝の上に降りると、大きく口を開けてあくびをしている。
ホーパスの体が丸くなりアルマスの膝の上で寝そべっていると、アルマスは右手でホーパスの背中を撫でた。
「じゃそろそろ行こうか。ウインドへ!」
アルマスが羽に向かって再び行先を告げると、2人を乗せた羽はゆっくりと動き始めた。