大切なもの production notes
「星の鏡」シリーズも今回で8回目になりました。
最初は2回ぐらいで終わりにしようと思っていたし、シリーズ化にしようとも
思わなかったので、自分でも驚いています。
今回はtwitterでも少し書きましたが、裏話が多い回になりました。
というのも、今回書き始める前からモティーフにする曲を変更したのです。
書き始める前の今回の曲のモティーフは、TINÖRKS(ティノークス)の曲は変わらないのですが
「月のまつげ」を使おうと思っていました。
この曲は他の曲とは違って、他のアーティストが2人参加したコラボ曲。
ヴォーカルもゲストアーティストが歌っていますので、いつもの感じとは違っています。
この曲を聴いた印象は、月にいて、月の地上をふわふわと歩きながら、周りの星々を眺めている感じ。
TINÖRKSの代名詞である浮遊感がとても出ている曲です。
この曲を使って、トイヴォと大きな猫が女神像を巡っての戦いを繰り広げていく方向に持っていこうと
してました。ただ、具体的にどう戦っていくのかまでは考えてませんでしたが・・・・・。
ところが、前回の話の展開で、トイヴォと猫のバトルを次回に書くということはなくなりました。
どういうことかというと、前回を思い出して欲しいのですが・・・・・・。
前回、村長と猫とのバトル(というか猫が大きすぎて、村長は猫の動きについていけなかったのですが)は
ありましたが、トイヴォに対しては猫はじっと様子をみているだけで、何もしていなかったのです。
それで次回いきなり猫とのバトルをさせることはないなと思いました。
さらに前回、トイヴォはどうして猫は女神像を持っていったのか、理由を知りたいと言っていますので
バトルをするという選択肢はますますなくなりました。
それで曲を選びなおすことになりました。
トイヴォと猫のバトルがなくなり、どの方向に持っていけばいいのかを考えながら
たまたまTINÖRKSの「Hinata」を聴いていました。
「Hinata」のイメージは、昼間の森の中。
鳥のさえずりが聞こえてきて、空から太陽の光が森の中に射し込み、太陽の光がライトのようにまっすぐと
地上に向かって射し込んでいく。
日向になっている場所で、猫がのんびりと寝そべって気持ちよさそうに昼寝をしている。
そんなイメージから、今回の話の展開をプロット化していきました。
プロットを作って、いざ書いていこうと思いましたが・・・・。
ここでまた最初どうするかつまずきました。
最初は、トイヴォとヴァロを小人の1人であるオスカリが森の奥に連れて行き
オスカリが今作っている女神像の泉を2人に見せようというところから始めるつもりでした。
今回の村と村人に崇められている女神像の関係というか、どうして村人が女神像を大切にしているのか
その辺りを書こうかと思っていました。
ただ、それをやろうとするとまた前回のように話が長くなるのでは?とも思いました。
それに村人と女神像の関係は、女神像だけあれば充分ですし
今回はなぜ猫が女神像を持っていったのか?というのがメインなので
無駄な展開だなと判断して、書くのを止めました。
それで、いきなりトイヴォとヴァロが猫の立場になって考えて、推理していくという展開になりました。
今回の話で大きな手掛かりになったのは「猫じゃらし」
川沿いやちょっとした広場に生えている、上の方に何かブラシみたいなふわふわした毛のようなものが
ついていて、実際、それを使って猫を撫でると、猫がじゃれつくのだそうです。
猫じゃらしの正式な名前は「エノコログサ」
イネ科のエノコログサ属の植物だそうです(yahooで調べました)
今回活躍したのは、レオさんでしょう。
レオという名前をつけたのは、あの有名な「レオナルド・ダ・ヴィンチ」から取りました。
というのも、猫の名前を前もって決めていたのです。
実際、レオが猫の名前を言うことはなくなったので、ボツになりましたが
「ミケランジェロ」という名前をつけていました。
というのは、レオが若い頃からこの猫を知っているので
レオが勝手にミケランジェロという名前をつけて、そう呼んでいるということにしたかったのです。
ミケランジェロだと長いので、短く「ミケ」と呼ぶこともあるという設定にしてました。
その猫ですが、最初は村人ではないトイヴォやヴァロの前でも話す設定にしていました。
レオが「ミケ」と言うと、「ミケじゃない、ミケランジェロだ」というセリフも用意してましたが
そうするとなんだかコミカルな設定になってしまうのではないかと思ってしまいました。
それはちょっと違うのかなと思い、書いている途中で猫は話をしない、という設定に変更しました。
でも、最後の方でちょっと話しています。しかもトイヴォにしか分からないように。
その方が逆にミステリアスでいいかなと思ったので。
もうひとつ書こうと思ったのが、ノエルが草原で1人寂しそうに佇んでいるところ。
トイヴォの前ではみんながいるから親がいなくても寂しくないと前回話してましたが
草原でたくさんの思い出を思い出して、トイヴォの前で寂しいと正直に打ち明けるものの
親の事情があるから仕方がないんだと自分に言い聞かせているのは、書いていて切なくなりました。
そして今回のタイトル「大切なもの」
今回もタイトルは話が出来上がってからつけました。
毎回、タイトルは焦りながら考えるのですが、今回は話全体を見て
猫にとってこの話で大切なものは猫じゃらしだし
ノエルにとって大切なものは町に住んでいる両親です。
そして村人にとって大事なもの、それは女神像。
どうして村人が女神像を大切にしているのかまでは今回は書ききれませんでしたが
それは・・・・次回明らかになるかもしれません(^^::
人はそれぞれ、大切なものがあります。
それは大事なものだったり、両親だったり、恋人だったり、友達だったり・・・・・。
もしそれが急になくなってしまったら、どうしますか?
この話に出てくる猫みたいに、他の人達が大事にしているものを盗んだりしては決していけません。
そして大切なものは、その人にとっては他のものには変えられないものなのですから。
列車に乗って、次の町へ出発したトイヴォとヴァロ。
このシーンでTINÖRKSの「Railnoscape」を使おうかと思いましたが・・・・。
また使うことがある・・・・かもしれないので、今回は止めました。
なんとか年内に今回の話が完成してよかったと思っています。
次回はまた違う町で、トイヴォとヴァロがどうなるか・・・・・・。
楽しみにしておいてください。