サクリファイス production notes



2020年になって初めてのサイト更新です。
「星の鏡」シリーズは今回で9回目。
今まで書くジャンルは違っても、長期間、こんなに長く続いたことがなかったので
よく続いているな、と自分でも驚いています。



というのも、小説を書いている間は自分は何を書きたいのか、展開やらを考えないといけないので
自分でこの作品はこのイメージで、このテーマで、ジャンルはこれで行こうと決めた時に
今までは締め切りというか、いつまでに書き終わろうっていうスケジュールをたてていました。
例えば1か月とか、長くても半年とか。どちらかといえば短期間でした。
書く期間が決まっていれば、それで自分を追い込めるというか、それまで創作活動にどっぷりと浸れるので。
それで書き終わったら達成感を味わいながら、次の日からは自由にだらだらするっていう・・・笑



今回は「これまでには終わってるかな?」っていう大雑把なスケジューリングなので
いつもよりはゆったりできるのですが、イメージやテーマの持続というか、今回書いている世界を
どれだけ長く維持できるのか不安になります。



ただ、今回は予想外に長期間になってるので(^^::
年内には終わるのだろうか・・・・と早くも不安です。
そうです、この話はまだまだ続くのです。



と前置きが長くなりましたが、今回もTINÖRKS(ティノークス)の曲を使っています。
今回の曲は「north」です。



この「north」は3つほどヴァージョンがあります。
ひとつはTINÖRKSの前身のyanetoronicaヴァージョン。
そしてTINÖRKSヴァージョンが2つ。
ひとつは「north」もうひとつは「north norrsken mix」。



yanetronicaヴァージョンは話を書いている途中で気が付いたのでこれは除外(^^::
あとの2つのうち、今回の話の内容に近いイメージの「north」にしました。
「norrsken mix」の方が音的には好きなのですが、ちょっと話の内容にそぐわないかなと思って
あえてはずしました。



TINÖRKSのサイトに曲解説のページがあるのですが
今回「norrsken mix」ヴァージョンが載っていました。
norrsenというのは「オーロラ」という意味だそうで、曲の最後に空にオーロラが出てくるイメージを
表現したそうなのです。
今回の話にオーロラは出てこないため、除外しました。



と言っても、今回はしっくりとくる曲がなかったんですよね。
小人達のいる村から列車に乗って、今度は小人達のいる町に来たトイヴォとヴァロ。
今度は町のイメージに合う曲を・・・・ということで、どんな町にするか考えるところから始めました。



村との違いを出すために、前々回で村の小人達に話させていましたが



・人が多い
・何でもある
・自然がない(緑がない)
・空気が汚い



上の設定でTINÖRKSの曲で近い曲というのは、はっきり言ってありませんでした。
それでも都会のイメージが少しでもありそうな曲を探して、まずは数曲の候補を選びました。



その後、発電塔の研究者でノエルの両親でもあるエルメリとユリア、トイヴォの
青い石をめぐる心の葛藤というか、トイヴォの心の葛藤の方がどちらかというとメインでしたが
それを表現した曲ということで、今回の「north」にしました。
それは曲の最後の方を使いました。



曲で言うと、前半からラスト手前までは列車が駅に着いて、町長さんが迎えに来て
町長さんに連れられて町を案内されている途中、停電になって発電塔に連れてこられる。
曲ラストは、もしかしたら大事にしている青い石が削られるかもしれないというトイヴォの不安感。
もうひとつは、ノエルと両親を合わせるために青い石を分けた後、無事に電気がつくのかどうかといった
不安感というのを出したつもり・・・・ではいます。



今回はプロットはそれなりに作ったつもりではいたのですが
いざ書いてみるとプロットで5行が数倍の200行になってたりと
今考えてみると大雑把な内容だったかなと(^^::
今回、村と町の違いを出そうというのに気をとられていて、
それからどうやって今回のラストに辿り着くようにするかっていうのは、実際は書きながら考えてました。
なので今回はほとんど即興で書きました。



町のイメージは、ちょっと昔の中国を考えて書きました。
今はすっかり技術的にも経済的にも先進国並みになりましたが
人は多いし、車と自転車ももちろん多い。
昔は黄砂なんて、日本に飛んでこなかったのに、今は春になるとバンバン飛んできているし。
中国国内も空がなんか汚いというか、すっきりきれいな空・・・・とは言えないですよね。
田舎はそうでもないとは思いますが(^^::



あとは青い石の正体というか、一体何なんだろうというのをそろそろ書こうかなと思っていました。
もう少しでこのシリーズも後半に入るので、その前に少し正体を明かしておこうかなと。
石の名前まで考えてましたが・・・・今回は出しませんでした。
それは後半に入ってからのお楽しみということで。



話のラストに少し名前が出ましたが、次回は大きな街、セントアルベスクに向かうことになった
トイヴォとヴァロ。
この街の名前も考えるのに3日ぐらい、ネットを見ながら考えました。
セントアルベスク・・・・北欧にありそうな名前ですが、実際にはそんな街の名前、ありません(^^::
後半に向けてまたいろんな名前が出てくるので、今のうちにと思って一緒に考えました。
それもまた後半のお楽しみということで。



また今回の話の最初の部分、トイヴォが母親の夢を見るところは曲は参考にしていません。
この夢の部分は前から入れようと思っていましたが、後半に入ってからにしようかと思ってました。
今回入れる予定ではありませんでしたが、最初のところに入れてみて、まあ・・・いいんじゃないかなと。
これはまた後である伏線になっている部分でもあるんですよね(話の展開上これ以上は書けませんが)



最後になりましたが今回のタイトルは「サクリファイス」
これはさっきタイトルをまだつけてなかったことに気が付いて慌ててつけました(^^::
「代償」にするかかなり迷ったのですが、英語にしたいなと思い「サクリファイス」となりました。



電気は生活するうえでとても大切な資源。
それがなくなったら・・・・とても不便だとここ数年で思い知らされましたね。
数年前の東日本大震災では計画停電で電気の大切さを思い知らされました。
そして昨年の台風19号は、関東を中心に大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいですよね。



今回の話では町の電気はある鉱石が放つ電気で成り立っているということ。
その鉱石がある理由であまり調達できず、それが原因で停電が起こってしまいます。
資源には限りがあるということ、資源をムダ使いせず、大切に使いましょうという警告という意味での話でも
あるのです。電気という便利なものがなくなった時のサクリファイスは、できれば被りたくないですよね。



そしてもうひとつの「サクリファイス」は、村で会ったノエルと両親のために
トイヴォは父親の形見として大切にしてきた青い石を削る決心をします。
結果的には強力な力を石が持っていたので、ほんの少しのかけらで済みましたが
それでも石を削ることは、トイヴォにとっては苦しい決断だったのです。



セントアルベスクに向かうトイヴォとヴァロ。
その先にはどんなことが待っているのでしょうか。
次回は・・・・前半ラストになります。
お楽しみに。