雪の妖精 Snow Fairies production notes



今回は短編です。
今年に入って初めての短編。
でも、プロットは昨年の夏にはほぼ出来上がっていました。
そのおかげで?いつもより早く書き終わることができました。



今回もTINÖRKS(ティノークス)の曲を使っています。
昨年の夏に短編「夢」を書いていた頃だったかな?と思うのですが
その時は暑くて、何気にTINÖRKSのアルバム「Odomyunica」を流していました。



その中にある曲「Ljus och sno」(ユース・オ・スノー)を聴いていたら、
いきなり話を思いついてしまい、その日のうちにプロットを書いてしまいました。
最初からラストまで一気に書くつもりでしたが、ラスト手前の部分でスタミナ切れなのか
思いつきがなくなってしまったのか、書いている手が止まってしまいました。
今思えば、たぶん疲れていたんだと思います。
ただ、ラストは決まっていたので、手前部分は書かずにラストはその時に書きました。



それに書いているうちに、今夏なのに冬の話を書いているのはおかしいんじゃないか?
冬の話は冬になってから書いた方がいいんじゃないかっていう疑問が出てきてしまい
プロットはその1日だけ書いて、今までほったらかしにしていました。
いざ書こうとすると、夏にプロットを完全にしてなかった自分にちょっとむかつきましたけど。
それは今に始まったことじゃないんで(^^:: ←ほぼいつもそんな感じがする。



今回のTINÖRKSの曲「Ljus och sno」は、今回話を書く前に彼らのサイトで
曲解説をしているページがあったので、解説を先に見ました。
この曲のタイトルはスウェーデン語で「光と雪」。
ウプサラにある大聖堂を訪ねたところ、とても神秘的でよかったので
そこから曲ができたそうです。



解説を見るまでは、雪が降っている中を1人の少年が外で見ているイメージがあったので
ほぼ合っているかなと思いました。
そして今回はその曲を繰り返し流しながら、プロットを元に話を書いていきました。



曲の最初の部分は、少年が雪の中を歩いてある場所にたどり着きます。
そこで雪の妖精と出会い、妖精達の舞いを見ているシーンです。



曲の中盤で歌が入ります。
歌の最初の部分から、歌が終わってもの悲しいアイリッシュフルートの音が終わるまでのところ。
これは男の子が睡魔に襲われながら、白い着物を着た黒髪の女性との出会いと別れ。
そして母親との再会までをイメージしながら書きました。



最後の部分は・・・・もう書かなくても分かりますね。



大きく3つのパートに分けて、今回は書いていきました。



今回はプロットが途中までちゃんとしていたので(^^::
前半はとても楽に書き進めることができました。
最近はプロットが大雑把だったために、自分でも書いていてどこに行こうとしているのかが
分からず、危険だと感じることがありましたけど、今回はそのあたりは心配はしてなかったです。



今回苦労したのは、雪の妖精たちの細かい部分かな。
前半に出てくる妖精たちの着ている服や、白い帽子。
最初は服や帽子については書いていませんでしたけど、どんな妖精なのかは読んでいる人に
よってはやっぱり気になるだろうと思って、付け加えました。



次に少し苦労したのが、中盤に出てくる白い着物の女性。
これは雪女をイメージしたというか・・・・雪女です(^^::
雪女というと、身体も心も雪のように冷たいイメージがあるのですが
男の子のために暖かい場所へ連れていくという、心のあたたかい雪女を書こうと思いました。
最初は男の子との会話を入れようと思いましたが、それだと不気味さがなくなってしまうので
あえて何も話さないようにしました。



そして最後に出てくる男の子の母親。
あえて書いていませんが、この母親はすでに亡くなっているのです。
この時点で母親も男の子も亡くなっているということに気が付いた方もいると思います。
男の子はまだ小さく、母親の死を理解できずに母親がどこかに消えてしまっているのだと
思い込んでいたため、「もうどこにも行かないで」というセリフを出しています。



そして最後。
次の日の朝になり、話は現実に戻ります。
そして男の子は実は雪に埋もれて亡くなってしまったということが
ここで初めて分かるのです。



最後まで読んで、男の子が見た妖精たちや雪女、母親は男の子が亡くなってからの話だと
いうことが分かると思います。
妖精たちが出てくる前に男の子は倒れているので、それで分かった人はいると思いますが。
その時点で分かると、雪の妖精たちは男の子を迎えに来た天使的な存在であることが分かると思います。
雪女が暖かいところ(母親がいる場所)に連れて行くシーンも、雪女が天使であるという意味合いを
つけたかったので、考えました。



タイトルはいつも話ができあがってからつけるので
今回も最後につけました。
今回のタイトル「雪の妖精 Snow Fairies」。
雪の妖精と聞くと、とてもファンタジーで楽しいイメージを持っている人もいると思いますが
その一方で人の命を奪ってしまうという、恐ろしい一面を今回書こうかとも思いました。



それは・・・・雪の妖精たちの踊りをずっと外で見ていたら凍えてしまいますし
雪女の冷たい手で、手をつかまれたり、抱きしめられたら、その瞬間に命が取られてしまいそうですよね。



男の子は最後に命を失ってしまうという悲しい結末になりましたが
男の子にとって、それは悲しい結果だったのでしょうか?
会いたかった母親に会えて、逆に嬉しかったのではないでしょうか?
今回の話は、男の子にとってどうなのか、賛否両論ありそうな結末になりました。



悲劇というか、悲しい結末を書くのは今回初めて?じゃないかな・・・・。
今回は短くしたいという思いもあって、なるべく簡潔に書こうと意識して書いたつもりですが
なかなか難しかったですね。



ただ、この曲が持つ雪の表現や、アイリッシュフルートの奏でるもの悲しさを
今回の短編では出せたのではないかなと思っています。
美しいけれど、どこかもの悲しい・・・・というか。
この世の中は、何らかの犠牲を持って成り立っているのかな、とか。
犠牲・・・・というと、前回も出た言葉ですね(^^::



今年は悲しい物語も、いくつか書こうかと思っています。
できればハッピーエンドを多く書きたいですが、たまには悲劇ものを書くことで
ある意味自分にとってはいい刺激になるのではないかなと思います。



次回はまた「星の鏡」シリーズに戻ります。
こちらはついに前半ラストです。お楽しみに。