追憶の古城 production notes
「星の瞬く夜に」を書き終わった後、しばらくは休もうと思ってました。
でも、その思惑に反して、TINÖRKS(ティノークス)の曲からいろんな話が浮かぶ浮かぶ(汗)
書いてみたい話はまだいくつかありますが、どうしてもすぐ書きたいっていう話が
ありました。それがこの「追憶の古城」です。
この「追憶の古城」というタイトルは出来上がってから、最後に決めました。
それまではタイトルが決まってませんでした。
仮のタイトルとして「migrationへのオマージュ」としていたので
タイトルもそのままにしようかなと思っていました。
ただ、オマージュという言葉の意味合いが違うと分かったので
migrationヘのリスペクト、またはモティーフにしようかとも思いました。
でも、やっぱりタイトルはちゃんとつけたほうがいいかなと・・・・・。
最初は「追憶の森」としてましたが、映画のタイトルで既にあるのでNG。
「追憶の城」でも某ゲームのタイトルになっているのでNG。
それなら、ということで「追憶の古城」にしました。
「migration」はTINÖRKSの曲です。
最初、スウェーデン語のヴォイスから始まり、その後フルートの音色がゆったりと聴こえてきます。
後で分かったのですが、この曲ではインディアンフルートを使っているのだそうです。
インディアンフルートの音色が特徴的で魅力でもあるこの曲。
聴くたびにこのフルートの音色に魅入られ、この話を書こうと思いました。
本当は、それより先に書こうと思った話があったんですけどね・・・・。
この曲からまず浮かんだのは、満月の夜。
そして、森の奥に浮かび上がる、古城の城。
城といっても、日本の城ではなくて、北欧やヨーロッパにあるようなお城。
まずどんな城にするかイメージさせないと話が浮かんでこないので
近所の本屋で世界の城の写真が写っている本を探して立ち読みしてました(汗)
城だけでなく、廃墟になっている建物の写真も参考にしました。
それで、廃墟になっている古城ということにしました。
そこから記憶を失って森を彷徨っている男性や
男性が持っている笛。
何らかの理由で夜だけ人間に戻れる女性が浮かんできました。
かなり悩んだのが、女性からどんな動物に変身するか、でした。
渡り鳥にしたいと考えていたのですが、まず浮かんできたのが白鳥。
でも、白鳥にしてしまうと、あの有名な「白鳥の湖」とかぶってしまいますよね。
でも、他の渡り鳥って何かあったかなと考えたのですが、白鳥以外何も浮かばず・・・・。
他の動物、リスとか、ウサギも考えたんですけど、どうもしっくりこなかったんですね。
なので、半分仕方なく白鳥ということにしました。
いつもであれば、話を書く前にプロットを書くのですが
今回はぶっつけ本番で書いてみました。
最初がいつもつまづきやすのですが、なぜか今回はすらすらと話が出てきました。
1日でほとんどできあがった、私にしては珍しくすんなりといった作品です。
実はこの話、ある課題を自分で課していました。
会話がひとつもない、登場人物の心情だけで話を完成させること。
最初はこの話、会話がひとつも出てこない話になってました。
そして、出来上がったのですが、読んでみたらとても冷たいイメージになってました。
やっぱり会話がないと、心が通っていない作品になってしまうんだと思いました。
それで書き直した作品が今回掲載しているものになります。
「migration」のモティーフですので、話が途中で終わっています。
この後、どうなっていくのか。
それはあなたが想像してみてください。
この話を書き終わった後、TINÖRKSのあるサイトでこの「migration」の解説があったので
見てみたのですが・・・・。この曲、渡り鳥の生態をモティーフにしたのだそうです。
そして、インディアンフルートの記述を見て思わず体が一瞬凍り付きました(汗)
うーん、この解説を先に見ていたら、この話、また違う内容になっていたのかもしれない。