仕組まれた夢 production notes



今回14回目となりました。
前回から今回まで更新が早いなと思った方もいたかもしれません。
今回の作品は、気合が入っていて・・・・。
前作を書き終わってから1週間空けて、すぐプロットに取り掛かりました。
というのも、今回は激しい展開を書くことが決まっていたのでいつもより力が入りました。
いつも力が入っていない訳じゃないのですが(^^::



前回更新したのが5月末でした(確か最終日)
その後、6月になり最初の週末にはもう今回のプロットを作って
1週間後にはもう書き始めていました。
今回はいろいろな展開があるので、本当は6日間ぐらいかけてゆっくりやろうかなと思っていましたが
実際は4日で終わってしまいました。



6日間でやろうと思っていたので、スケジュールも早くしたつもりだったのですが
結局4日で終わったのでちょっと意外でした。
今月はプライベートでも予想外の展開があって、金曜日の予定ががら空きになってしまったので
金曜日に書く時間を充てられたっていうのも大きいです。
平日に予定がないっていうのは意外といいものですね~。
おかげで有効活用できました。



今回もTINÖRKS(ティノークス)の曲を使っています。
アルバム「Odomyunica(オードミュニカ)」から「Houra(ホウラ)」です。
この曲は全体的に静かで、どちらかといえば暗い曲(失礼)ですが、この暗さが
聴いていて今回の話に合っているのではないかと思いました。



聴いていて、暗い夜の森の中を彷徨い歩き、森を出て家に帰ると母親が温かい料理を作って
出迎えてくれる・・・・・みたいな印象を受けました。
この曲は笛の音がなんだか懐かしさや故郷を思い出させてくれるようなせつない音色で
いつも遠くから暖かく見守ってくれている母親のような感じの音色でもあります。
曲間のヴォイスも囁くような声で、母親が子供に声をかけているような感じがしました。



この曲から今回の話を思いついたのは昨年。
都内のちひろ美術館にバスで移動していて、この曲を聴いていて思いつきました。
美術館に行ったのは昨年の7月だから、もう1年前ですね(^^::
1年前に思いついた話を徐々に広げて行って、今回やっと書いたってことですね。
自分でもびっくりです。



この時から、トイヴォと母親のことを書こうと思っていました。
もちろん母親は本物ではなく、モンスターが化けた偽物で。
そして、このモンスターは姑息で高慢な性格をしているということも当時すでに思いついていました。



どうやってトイヴォをモンスターに出会わせるか。
そしてトイヴォは偽物の母親だとどうやって気づくのか。
モンスターとトイヴォの戦闘?シーンや最後のエリアスとモンスターとの戦闘シーン。
そしてモンスターの目的は何なのか。



まただいぶ前の話、ポルトの町で起きた子供の誘拐事件の真相がようやくここで明らかになる。
ひとつの謎の回収がようやくできました。
(まだ女性達がどこに行ったのかという謎は残ったままですが。)



ちょっと書いてみただけでも、今回は展開がすごくあるので、これは力を入れないと・・・って
思ってしまいました。



まず苦労したのは、他の3人からどうやってトイヴォを引き離すのか。
他の3人は前に歩いて、トイヴォを一番後ろにする。
そしてトイヴォが洞窟のどこかから呼ばれているのをトイヴォだけが聞くという設定にしました。
トイヴォが一人、他の道に行く時に、ポケットに入れていたペンを落とすっていうのも
この時に思いつきました。
そうすれば後で3人がトイヴォを探すときに、誰かがこのペンを見つけて
そこからトイヴォのいる場所を探し出して、モンスターをやっつけるという展開につながっていくんです。



最初はアレクシの偽物がトイヴォに母親が見つかったと声をかけて、部屋まで連れて行くっていう設定を
していましたが、アレクシは先頭を歩いているので、これで一番後ろを歩いているトイヴォを誘い出すというのは
さすがに無理があるなと思ってやめました。



次に苦労したのが、モンスターの恰好やキャラ作りです。
これは最後までどうするか考えました。
モンスターを登場させるのはいいけど、どんな格好をしているかっていうのは書く寸前まで
思いついていませんでした。
闇の魔王の手下?というか、仲間という設定なので最初は体を黒にしようかとも思ったのですが
洞窟の中の部屋に棲んでいる設定なので、それだと地味だなと思ってあえて目立つピンク色にしました。
あとは書いていくうちに決めて、モンスターの弱点である頭の脳みそは最後の最後に書き加えました。
でないと、トイヴォがエリアスに弱点を教えられないですからね。



今回も戦闘シーンは大変でした。
トイヴォがナイフで母親を刺すところから、モンスターに四隅に追い詰められるところまで長かったですね。
トイヴォとモンスターが会話をしながら、移動しながら戦っていく。
モンスターから語られていく、子供の誘拐事件の真相。
そしてモンスターの目的。
それを聞いたトイヴォの反応や、こみ上げてくる怒り・・・・・・。
トイヴォの心情や、途中部屋の外でトイヴォを探している3人の様子を挟みながらなので
今回は大変でした。
最後のエリアスとモンスターの戦闘シーンはあっさり終わってしまったので、意外と早かったですね。



そして今回、最も考えたのがトイヴォと母親との会話。
もちろん、最初はトイヴォは母親が偽物だとは気づかないので、母親に抱き着いて泣いてしまうくらい
喜ぶのですが、話しているうちに次々と違和感が生まれてきます。
それは話を読んでもらうと分かるのですが、トイヴォが覚えている母親の記憶と、目の前にいる母親と
違う部分が出てきて、最後に決定的な違和感が出て、トイヴォは偽物だと感じるのです。
いくらだいぶ会っていなかったとはいえ、子供の嫌いな料理を出さないでしょう。
わざと嫌いな料理の名前を出したトイヴォも、本当の母親なのかどうか確かめるのが目的で言ったので
モンスターはこれにうまくはまった?形になったわけです。
トイヴォの嫌いな料理を何にするかっていうのも、書く寸前までかなり迷いましたけど(^^::
でも、好きな人が多いですよね、この料理・・・・・。
どうしてトイヴォがこの料理を嫌いなのかは、次回明かしたいと思います。



でも、その前にトイヴォは決定的な違和感を感じていたのです。
それは、母親に再会して抱き着いた時、母親の体に温もりを感じなかったこと。
話には書きませんでしたが、トイヴォは小さい頃から、母親の温もりをいつも感じていたはずです。
せっかく母親に会えたのに、いつも感じる温もりがなかった・・・・・。
それでトイヴォは母親に次々と質問を投げかけ、わざと嫌いな料理が食べたいと言って、母親が偽物であると気が付いて
あの行為に及んだ訳です。



母親に化けたモンスターも、トイヴォが感じていた母親の温もりや思い出、トイヴォの嫌いなものまでは
分からなかったはずです。
最初は見た目で母親だと思っていたトイヴォも、違和感から冷静に判断し偽物だと気がつきました。
そして小さなナイフしか持っていなくても、仲間がいなくても一人でモンスターに立ち向かって行ったトイヴォ。
最後は青い石の力とエリアスに助けられましたが、トイヴォがまた成長したなと思わせる話になりました。



最近、差別という言葉がニュースで目立っていますが
私たちはどこか人を見た目で判断しがちですね。
肌の色が違ったり、障害者だったり、感染病の患者や医療関係者、またその家族だったり。
見た目で判断してはいけない。と分かっているつもりなのに、気がついたら差別をしてしまっている。
差別や偏見は私は持っていないよっていう人にも、実は心の中で持っていることに気が付いていないのです。
人間であれば、誰もが差別や偏見を持っているのです。
私もそうです。



例えば、電車内で赤ちゃんが泣いていたりするだけで迷惑そうな顔をしたり
中には直接「うるさい」とクレームつけてくる人もいますよね。
あと、今はなくなってきていると思いますが、肌の黒い人を見るだけで物珍しそうな目で見たり。
それだけでも差別と偏見なのです。



人間である以上、差別と偏見はなくならないだろうと思っています。
でも、あまりにもギスギスした、やり過ぎる差別と偏見はなくしていきたい。なくなればいい。
そう思っています。



最近の世の中はすぐに人を見た目で判断したり、SNSやネットでの書き込みやデマを信じてどんどん拡散したり
何かと人間関係がギスギスしているなと感じます。
見た目だけでは人は判断できませんし、ネットでの書き込みや情報を広める前に、いったん落ち着いて考えてみましょうよ。
見た目は怖い人が、話してみると案外いい人で優しかったり。
逆に優しくてかっこいい人が、実は冷酷で自分だけよければそれでいいというエゴイストだったりします。
今ネットで見ているその情報、本当に正しいのでしょうか?
拡散する前に自分で確認してみましょう。
そして拡散するだけでも、傷つく人がネットの向こう側にいる場合もあることを忘れないように。



今必要なのは、いったん落ち着いて冷静に考えてみること。
冷静に考えれば、感情に任せて行動しようとしていたことが間違っていたことに気づくことがあります。
今回のトイヴォのように、違和感を感じて冷静な判断ができるかもしれません。



今回は展開が多くて、行数も900行を超えてしまいました(^^::
次回はトイヴォ達は無事に集落まで無事に辿り着くことができるのでしょうか。
それはまた次回のお楽しみです。