星の鏡 production notes
前作の「追憶の古城」を書く前に書こうと考えていたお話です。
本当は3月下旬までに書きたいと思っていました。
なぜかというと、3月というのは卒業などの別れ、4月は入学などの出会いの季節ですよね。
この話は少年が住んでいる世界(森の中)から外の世界に出てみたいという思いから
森のどこかに昔からある「星の鏡」を探しまわり、最後は「星の鏡」に取り込まれていく・・・。
既存の世界から、見知らぬ外の世界へ、少年が旅立っていこうとするお話です。
卒業シーズンに合わせてちょうどいいテーマだなと思っていました。
でも、書く前に前作のTINÖRKS(ティノークス)のモティーフ曲「migration」を聴いてしまい
あまりにも曲が良くて、そちらの方に創作意欲が沸いてしまったため
この話を後回しにせざるを得なくなってしまいました(泣)
この話は、TINÖRKSの曲「天球図譜」をモティーフにしています。
夜空に広がる星々をテーマにした曲ということで、聴いて浮かんできたのがやっぱり
夜空の星です。
ただの夜空の星だけでは、話にするには物足りないと思い、さらに考えていくと
時期が3月だったので、そろそろ卒業式がある、もう少しすると入学式や入社式がある。
それなら、出会いと別れ、それに新しい世界へ飛び込んでいこうとする不安と期待が入り混じった
なんともいえない気持ちまでも話に取り込んでいこうと思いました。
それからさらに曲を聴いて浮かんできたのが、話のタイトルでもある「星の鏡」。
このタイトルは話が出来上がってからつけたので、最初は「星の井戸」にしていました。
どうして「星の鏡」なのか。
書いていて、夜空の星がそのまま水面に映し出されているのを想像していくと
これは井戸じゃなくて、鏡の方がいいんじゃないかなと思ってきたんです。
「星の水鏡」にしようかとも考えたんですが、「星の鏡」の方がしっくりくるかなと思いました。
願いを叶えてくれる「星の鏡」。
そしてそれを守っている守り神。
そしてそれを知っているのは、森の住民でもほんのわずかな人だけ。
森の中でも伝説的になっている「星の鏡」の存在を知り、そこを目指す少年。
話ができてきたところで、プロットを作成しました。
でも書き始めて困ったのが、最初をどうするか。
話の途中で少年の回想シーンが2回出てきますが、このシーンをどうするかで
かなり悩みました。
回想にしなくても、少年が親戚の家から出ていくところから始めれば
わざわざ回想シーンにする必要はないからです。
でも、そうしてしまうと、時系列で話を始めてしまうことになり
その分、少年が森の中をどのように彷徨っていたかまでを書くことになるので
話がかなり長くなってしまうと思い、止めました。
時系列でNGならば、最初から夜に設定して、真っ暗な森の中を少年が彷徨っているところから
始めれば、あとはなんとかなるだろうと(汗)試験的な感じで始めました。
ということで成り行きで回想シーンが2回、入ることになりました。
少年の設定もかなり迷いました。
家族設定や少年の思い、なぜ「星の鏡」に行きたいのかの理由付け。
そして「星の鏡」で出会った、守り神の設定も迷いました。
最初は姿がなく、声だけにしようと思ってましたが、いろいろと思うところがあり
動物をモティーフにしたオリジナルのキャラクターを作るか
それとも既存の妖精にしてしまうか、かなり迷って、小人に落ち着きました。
鏡の守り神なので、小人だけではなく何にでも変身できるんです(笑)
小人の大きさもかなり考えて、ティースプーンに落ち着きました。
あまりにも大きいと、鏡が壊れてしまうかもしれないので(汗)
TINÖRKSの「天球図譜」は最初は少年が星を見上げながら、森を彷徨っているイメージがあり
中盤、ヴォーカルが入るのですが、そこは少年が守り神と話をしているイメージ
そして終盤、フルートがどこか切ない旋律を聴かせてくれるのですが
そこは少年が星の鏡に取り込まれていくイメージになっています。
曲が終わる直前のピアノは・・・・少年の姿が消えて、守り神が「星の鏡」を見ているシーンをあてています。
この話、少年が「星の鏡」の中に入っていったところで終わっていますが
どうなっていくと思いますか?
それは「星の鏡」だけが知っています・・・・・。