ある遠い日の記憶 production notes
今回は短編です。
「星の鏡」シリーズが終わり、ほっとしているのも束の間
書きたい短編が頭の中で山積みになっていて、同時に新たなネタがどんどん出てくるので
しばらくの間は短編を書いて行こうと思っています。
とりあえず、今いっぱいになっているネタの棚卸ではないですけど、ひとつづつ吐き出さないと
そのうち訳が分からなくなりそうなのでね(^^::
今回の短編は、実は2年以上前からずっと頭の中であたためていた話です。
「星の鏡」シリーズを書く前から、今回の話を書こうと思っていました。
なぜ先に書かなかったのか?っていうのは、Twitterでも少し書きましたが
当時は「星の鏡」シリーズは1年で終わりにしようと思っていたからです。
それが予想外にも自分の中で盛り上がってしまって、終わってみたらあっという間に2年以上経ってました。
シリーズ物の合間にもいくつか短編を書いてましたが、なぜその時に書かなかったのか?
今回の話は、書く時期にこだわりがあって、なかなか書くタイミングが合わなかったのです。
タイミングを計っているうちに、シリーズ物が終わり、タイミング的にもいい時期かなと思い
今回になってやっと書けました。
先に、今回使った曲の話をします。
チェリスト溝口肇さんの「緑の影Ⅱ」。
この曲が収録されているアルバムは十数年前に出て、今はもう廃盤となっていますが
ベスト盤にも収録されていたと思います。「espaceⅡ」だったかな?
そもそものきっかけは、2年以上前に、時間があるのでたまたまこの曲が入っているアルバムを聴いてました。
この「緑の影Ⅱ」を聴いた時、今回の話のネタが下りてきたのです。
曲としては、とても悲しい曲で、歌は入っていません。
溝口さんの奏でるチェロの音がとても切なくて、美しい。
ネタが下りてきた時、何度も繰り返し聴いては泣いていました。
何度も聴いて、少しずつネタを思いついていって、プロットを書いたのは2019年の2月。
今回の悲しい話になりました。
この話を公開するタイミングは最初は季節を5月に設定していたので、5月にしようとしていました。
曲を聴いていて、木々の葉の新緑のイメージがあったので、5月に公開しようとこだわっていましたが
戦争の話ですので、終戦した8月でもいいんじゃないかと思い、今回の8月にしました。
話の設定もこれに合わせて夏にしています。
今回の話は、妻を亡くしたある老人がアルバムを見ているうちに、昔の恋人の写真が出てきたことで
昔起こった戦争のこと、恋人を亡くしたこと、それがきっかけで妻と出会ったことを回想している。
そして恋人の写真を・・・・という話です。
戦争の話は今回初めて書きましたが、やっぱり重たかったです。
話としてはほんの数行ですが、戦闘機とか戦争が終わった後の墓場でのシーンとか
戦争を経験したことがないので、ぼんやりとしか書けなかったなというか・・・・・。
細々と書いてもさらに重くなるだけなので、その辺りは難しかったですね。
書いていくうちにプロットと変わってしまうというのは、日常茶飯事なのですが
今回は最後の最後を変えてしまうという、今までなかったことをやりました(^^::
2019年当時のプロットでは、シャーロットの写真に火をつけて、灰皿の上に置いて
写真が燃え尽きるところで終わりだったのです。
最初はそれで書こうとしました。
でも、書いているうちに「これは違うだろう」と思うようになりました。
シャーロットの写真を燃やしてしまうことは、同時に戦争のことも忘れてしまうことにならないだろうか。
シャーロットとの楽しい思い出も同時に忘れることにならないだろうか。
この時にある戦争の特集番組を見たのもきっかけになりました。
戦争が起こったことはやっぱり忘れてはならないし、戦争は二度と起こってはならない。
戦争で起こった悲劇や惨劇を繰り返してはならない。
それに戦争前の楽しかった日々も忘れてはならないのではないか。
そう思って、あのような結末になりました。
あの結末になるまで、少し時間がかかりましたけど(^^::
タイトルの「ある遠い日の記憶」というのは、老人が若い頃、身に起こった戦争での出来事の記憶ということで
つけました。
最初は「memoria」だったのですが、日本語のタイトルの方がいいだろうと思って変更しました。
「memoria」は今後使いそうな感じだったので、今回はボツにしました。
夏になると毎年戦争の特集番組がテレビで流れますが
何がきっかけで戦争が起こったのか、どうやって戦争が終わったのか
終わった結果、みんなどうなったのかっていうのは、やっぱりみんなが知っておくべきだと思います。
数年前にシリーズで放送されていたNHKの「映像の世紀」は見たほうがいいのかなと。
つい先日再放送やってたみたいなんですが・・・・見逃しました(^^::
「映像の世紀」、未だに全部見てないんですよね(最初の方)。
戦争映画もいいのですが、やっぱり部分的になってしまうんで・・・・・。
現在はコロナ禍という、ある意味違った戦争?人類とウイルスとの戦いになっていますが
未だに終息できそうにないですね。変異株が次々と出てくるし。
ワクチン接種しても、ウイルスに感染はするので(重症化にならないだけ)
今後も気を付けていきたいと思います。
あと2,3年ぐらいは続くんじゃないかなと思っています。
終息した時、世界はどうなっているんでしょうね・・・・・・。
溝口肇さんの音楽をネタにして話を書くのは、学生の頃推理小説を書いていた時にしょっちゅう使っていたので
今回は久しぶりでした。
最近の曲ではまだ書いていないので、また機会があれば書いてみたいなと思っています。
今回もここまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回の短編もお楽しみに。