星の川 prodution notes



9月に入ってから、週末はいつも悪天候が続いていますね。
最近になってようやく暑さも落ち着いてきたかと思えば、朝晩はすっかり寒いくらいに涼しくなりました。
それと9月に入ってから台風が次々と発生していますね。
これを書いている日に、また台風が発生しましたが(^^:: もういい加減にしてくれって感じですよね。



今回はそんな時期と偶然にも重なってしまった内容の短編になります。
今回の話は、3年くらい前にある曲を聴いていて思いついた話になります。
どうして書いたのが今になってしまったのかというと、この話は内容が内容なだけに
書く時期を狙って書きたいなと考えていました。



というのも、本当は9月ではなく、7月に書きたかったのです。
7月といえば七夕ですが、七夕は1年に一度、織姫と彦星が天の川で再会できる日です。
その日が雨だったら再会はできませんけれど(^^::
本当であれば七夕にちなんだ話にしたかったんです。
今回は9月に書くことになったので、内容は少し変えています。



実は1、2年くらい前に一度この話を書こうと思っていましたが、ある災害が起こりました。
台風か線状降水帯だったのかは忘れてしまいましたが、大雨が発生し、アンダーパスの下の道路が冠水し
そこを通っていた車が水に浸かり、亡くなってしまった方がいたり、川が氾濫して辺りの住宅が床上浸水したりと
甚大な被害が発生したのです。
さすがにその時にこの話を書くのはどうなんだろうと思い、その時は書くのを止めました。



それからしばらくの間、今回の話を書くタイミングを狙っていましたが
それ以降、線状降水帯は毎年のように発生し、その度に甚大な被害が発生しています。
ここ数年で自然災害もすっかり変わってしまいました。
前回で[.que]さんの曲を使った短編も終わりましたし、次回の短編を書くには早すぎると思いましたので
今回、あえて書くことにしました。



今回はワタユタケという2人組ユニットの「星の川」という曲を使いました。
ワタユタケというのは安全地帯というバンドのギタリスト、矢萩さんと武沢さんの2人のユニットです。
安全地帯といえば玉置さんという超有名なボーカリストが浮かぶと思いますが、安全地帯は5人組のバンドです。
皆さん安全地帯といえば玉置さんしか知らない方が多いので説明しておきました。



私は小学生の頃から彼等のファンなのですが、大学生の頃活動停止した時があり、その時にすっかり興味が
なくなってしまって、離れていたのですが、数年前ある方のTwitterからワタユタケのことを知りました。
それでワタユタケのライブに行ってみたら楽しかったのですっかりファンになりました。
今はワタユタケは活動はストップしているようですが、またライブでもやってもらいたいです。



「星の川」は歌があり、矢萩さんがボーカルをしています。
この曲は愛する女性が亡くなってしまい、残された男性がその女性の事を思いながら夜空の星を見ているという曲です。
矢萩さんのどこか物悲しくて切ないボーカルに、松井五郎さんの男性側の思いを綴った歌詞が聴いていて涙を誘います。
今回ようやく短編を書くことができました。



プロットは3年前に書いていたので、今回はいつもよりは楽に書けるかなと思ったのですが
見てみると9行しか書いていませんでした(^^::
これは・・・・いつも書くプロットよりひどいじゃないか(泣)それに大雑把すぎる(泣)
そこで再度プロットを書き直しました。
でも、そう思うのは自分がいくらか成長した証ですね。



まずは最初のところです。
今回の主人公、ヒロトは恋人のミツキに車内でプロポーズをします。
最初は夜景が見えるレストランとかテラス席でのプロポーズにしようかとも思ったのですが
そこから車への移動とか考え、どうせなら最初から車でのプロポーズにしようと決めました。
要はめんどくさかっただけですね(^^::



そして幸せの絶頂から一気に不幸のどん底に突き落とされるシーンへ(^^::
このシーンは最近になって見えるダークサイドなところですが、考えたのは3年前なので
その頃はまだダークサイドがどうこうとか出て来てない時期です。
(ということはその頃からダークサイドな面が出てた?)
前にも書いたと思いますが、学生の頃、地元駅前の横断歩道で大型のトレーラーが信号無視して渡っているおじいさんを
轢いてしまったのを見たことがあり、かなり衝撃を受けました。
人ってこうも簡単に轢かれてしまうんだなって・・・・・・ショックでしたね。
今回はトラックでの事故で、ミツキが轢かれるシーンはあえて書かず、ヒロトが事故の瞬間を音で聞く形にしています。
事故のシーンって、トラウマになっている人もいると思うので・・・・・。



ミツキが亡くなり、葬儀場の前でヒロトが泣き崩れるシーン。
葬儀場とは書きませんでしたが、喪服というワードを書いているのでなんとなく分かると思います。
本当はミツキの両親との会話シーンも入れたかったのですが、全体的に考えてあまりいらないかなと思って止めました。



そして大切な人を亡くしたという喪失感から、ヒロトは何をする気にもなくなってしまいます。
ミツキのところに行きたい。なら死んでしまいたいというマイナスの方向に考えが行ってしまうんです。
そして台風が近づいてくる夜になり、ヒロトは車に乗って冠水状態のアンダーパスに突っ込んで行くのです。
これはさっき書いたアンダーパスでの冠水による死亡事故を参考にしました。



今回悩んだのは、その後のシーンです。
当時のプロットには数文字しか書いてなかったですからね(^^::
ミツキと再会してどうこうって・・・・・そのどうこうっていうのはたぶん即興で書こうと思ってたと思うんだけど(^^::
そんなミツキとの再会シーンは即興で書きました(^^::



まず2人が再開する部屋ですが、洋室でもよかったのですが、和室にしました。
思いつきで和室にしたのですが、外に出るシーンがあるので、障子に囲まれた和室ということにしました。
またミツキが来ている白いワンピースですが、最初は部屋に合わせて白い着物にしようかと思いました。
でも白い着物だといかにも幽霊だと思いますよね(^^::
そういう風にはしたくなかったので和室とはミスマッチですが白いワンピースにしました。
それに最初のシーンでは黒のワンピースなので、対照的でいいかなとも思いました。



このシーンでかなり考えたというか、迷ったのはミツキのセリフですね。
ヒロトと再会して、ミツキも嬉しいはずなのですが、なぜか戸惑っている。
それは先を読み進めていくうちに分かるのですが、2人が再会したのは天国ではなく、一時的な場所。
短編ではあえて書かなかったのですが、ヒロトを天国に受け入れるかどうか、神様が判断する場所だったのです。
どのように判断するか?それはミツキのセリフで表現しています。



例えばミツキが外の庭の天気を見ながら
「いい天気ね・・・・しばらくの間、ここで過ごしましょう。雨が降らないといいけど」というところ。
しばらくすると天気が悪くなり、雨が降ってしまいます。
雨が降ってきた途端、ミツキはヒロトに別れを告げるのです。



ミツキはヒロトに対して、複雑な心境を抱えていたのです。
ヒロトに会った時は嬉しかったけれど、神様がヒロトを天国に入れてくれるかどうか・・・・・。
天気がこのまま雨が降らなければ、ヒロトと一緒に天国へ行ける。
しかし雨が降ってしまうと、ヒロトとは別れることになってしまう。
ヒロトとできるだけ長く一緒にいたい。
その思いから上のセリフになっているのです。



しかしそんなミツキの思いもむなしく、雨が降り出してしまいます。
それにミツキはヒロトがまだ完全に亡くなってはいないと分かり、ヒロトに別れを告げます。
ヒロトとは一緒にいたい。
けれどもまだ死んでいないのなら、生きていて欲しい。
私のために自分の命を犠牲にしてまで死ぬことはないと、ヒロトに訴えるのです。
そして私のために生きていて欲しいというミツキの思いを聞きながら、ヒロトはミツキと別れるのです。



そして生き返ったヒロト。
まだミツキが亡くなった喪失感は完全に消えてはいないものの、私のために生きて欲しいという
ミツキの最後のメッセージに応える形で最後はあのような形にしました。



最後のシーンを海岸にするっていうのは最初から決めてましたが
どう終わらせるの?っていうのは3年前とは少し違っています。
3年前はミツキが生前行きたかった場所があり、本当であれば生きているうちに連れて行きたかったけれど
連れて行けなくてごめんっていうところで終わるという感じでした。
でもそうなるとミツキと再会したところでそのことを加味したセリフがいるんじゃないかと思って止めました。
それで終わるにはあまりふさわしくないんじゃないかなとも思いました。
なので書き直したという感じです。



ヒロトが生き返るという設定は3年前からは変えていません。
2人とも死んでしまうっていうのはあまりにも悲し過ぎるので。
でも残された方は喪失感が消えるまで辛いですよね・・・・・・。



今回のタイトル「星の川」は曲名そのままです(^^::
短編では最後の海岸でのシーン以外、星は出てきません。



星って亡くなった人の魂というか、亡くなった人の思いが空へ上がって、それが星になって輝いているんじゃないかって思うんです。
私の母は8年前に亡くなりましたが、夜空を見るといつも同じ場所に同じ大きさの星があって。
もしかしたらその星は母親で、空から見守っているんじゃないかって思う時があります。
星って見る季節によって位置が違ったりするんですけど、それでもいつも見慣れている星がなぜか分かるんですよね。
その亡くなった人達の思いが星になって「星の川」になるんじゃないかなっていうことで(若干こじつけですが)。
正直なところ「星の川」以外のタイトルをつけようと考えましたが、思いつかなかったんですよね・・・・・。



今回はどちらかというと暗い話になってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
来月は1年前から考えていた話を、半年くらいかけて書こうと思っています。
ネタは頭の中にあるのですが、まだプロット化ができてないんですよね・・・・・。
最初の部分(というか最初の1回)はだいたいできているので、そろそろプロット書きたいんですが
最近いろいろと忙しいので、なかなか書く時間が取れないのです(^^::
書くのは来月からなので、大丈夫なんでしょうか。



ここまでお読みいただきありがとうございました。
来月もまたよろしかったらお付き合いください。