変えられた現在 production notes



2月もあと数日で終わり、だんだんと春めいてきました。
近所では梅が満開になって、昼間は暖かくなってきましたね。
ダウンジャケットを出かける時にいつも着ていますが、昼間は暑い時があって
そろそろダウンを着なくてもいいんじゃないかと思ってしまいます。
でも、まだ朝夜は寒いんですよね・・・・・・。



今回の話を考えている時にトルコ・シリアで地震がありました。
前回地震が起こった時点で終わっているので、何というタイミングなんだろうと。
何とも言えない気持ちになりました。
これから復興に向けて動き出すと思いますが、1年や2年では難しいと思います。
東日本大震災が発生して10年以上経ちますが、復興しているところはしていますが
やっぱり未だに手の届いていないところはあるんじゃないかと思っています。
そう思うとトルコ・シリアは10年以上はかかるんじゃないかと思っています。



今回の話になりますが、地震の後の事を書いているので東日本大震災の事を思い出す方もいると思います。
熊本の地震や阪神淡路大震災の事を思い出す方もいると思います。
被災された方には少し辛い内容かもしれませんが・・・・・先に進みます。



地震の揺れが収まった後、2人は潮がかなり引いているのに気が付きます。
蒼太は津波が来るんじゃないかと不安になりますが、千尋はそれほどでもない様子。
海岸には防波堤があるから津波が来ても大丈夫と思っていたのです。
しかしそれはことごとく裏切られてしまいます。
防波堤が地下から出て来ると思っていたのが、警告音も鳴り響くことなく、あるはずの防波堤はなくなっていたのです。
なくなっていたのではなく、初めから作っていなかったことにされているのです。



住民からそれを聞いた千尋は戸惑います。
今まであったものが、過去にタイムスリップしている間に、元からなかったことに変わってしまったのです。
どういうことなのか分からないまま、とりあえず避難することになった2人。
蒼太のバイクが燃料切れで動かなくなり、2人は走って山に避難することになるのです。



よくない事が重なるというのはパニック映画にはよくあることですね・・・・(^^::
過去にタイムスリップしている間に現在の状況が変わってしまうっていうのは最初から考えていました。
それが分かるのは大地震がきっかけになるっていうのも決めていました。
今回は地震と津波の中、千尋と蒼太、そして白髪の男性がどう動くかっていうのがメインになるので
かなり考えましたね(^^::



地震と津波はやっぱり東日本大震災が起こった時を思い出しながら書いてました。
震災当時は都内の会社にいて、慌てて机の下に2度避難しました。
最初の海岸で2人が抱き合っているところで、最初は2人は立ったまま抱き合っているということにしていましたが
横に激しく揺れているのに、立っていられないだろうと思い途中で座っていることにしました。
実際、何の支えもなしでは立ってられないほど揺れたのを思い出したので。



津波から逃れるため坂を上っていく2人ですが、坂を降りて行く女性を見かける千尋。
見覚えのある姿に美樹ではないかと思っていると、見かねた蒼太が女性を連れ戻そうと追いかけて行ってしまいます。
千尋も後を追おうとしますが、周りの人達に止められ離れ離れになってしまいます。
これも最初から考えていました。
ただ坂を降りて行く女性を美樹にするかしないかは微妙で、美樹と確定してしまうとまたそこで何か考えないといけないし
美樹でなかったらなかったで、このシーンを入れる必要があるのか?と自問自答してしまう。
それなら千尋が女性の後ろ姿だけを見て、なんとなく美樹じゃないかと思う程度にしました。



蒼太が女性の後を追いかけていると、いきなり後ろから白髪の男性に取り抑えられます。
放してくれと抵抗する蒼太に白髪の男性は千尋を悲しませるなと声を上げます。
本来ならば地震なんて起こるはずじゃなかったという話を聞いた蒼太はどういうことなのかと白髪の男性に尋ねます。
白髪の男性は場所を移し、蒼太に何が起こっているのか話をするシーンはかなり考えました。
只者ではないとはいえ、まだここで正体は明かせないので蒼太にどこまで話をするのか、考えたのがこのシーンです。
蒼太があんたは何者なんだ?と聞いたところで、千尋のシーンに切り替わり、その後再び戻ってますが
その頃は既に白髪の男性は何者なのか蒼太は分かっているんです。ただ話には書いていないだけで(^^::
蒼太は白髪の男性から何を聞いたのか?は次回か最後には明らかになるので、楽しみにお待ちください。



千尋が山の広場で休憩しているシーンですが、石碑の話が出ていますね。
第2回で千尋と蒼太がタイムスリップして着いた場所が山の広場でした。その時はちらっとしか書いてませんでしたが
今回のこのシーンのために伏線(というのかどうかは微妙ですが)として書いたのです。
老人のセリフで、この石碑は昔大地震が起こって津波が来た時、この広場の少し下のところまで津波が来たと書いてあるとありますが
これは東日本大震災が発生して数ケ月が経った頃、偶然テレビで昔起きた大震災による津波がここまで来たと記した石碑について
放送していて、地元の人が「これは今後同じような事が起こった時、この石碑を見て避難できるように残しておいてもらいたい」と
話していたのを思い出し、これを使おうと考えてました。
東日本大震災の後、電信柱に地震が来て津波が来たらどのくらいまで水が来るのかっていう高さを表示したものが貼ってあるのを
見かけるようになりましたね。実際津波が来て、これをどのくらいの人達が見るのかは疑問なんですけどね(^^::
数字で表すだけじゃなくて、どのくらいの深さなのか目で分かるように、色で示したらもっと分かりやすいんじゃないかと思います。
ぱっと見ただけで分かるような、見ただけで危機感を感じるような表示にすれば避難しやすくなるんじゃないかなと。



白髪の男性から話を聞いた蒼太は、戸惑いながらも自分が出来ることがあれば手伝うと意を決します。
蒼太が決断すると分かっていたように、白髪の男性は蒼太が海岸に置き去りにしていたバイクを燃料を満タンにした状態で
蒼太の目の前に出し、蒼太を驚かせます。
そして2人はバイクに乗り込むと、どこかへと消えてしまうのでした。
ちなみにこの時点では蒼太はどこに行くのか知らされていません。
行先はセリフにもあったように白髪の男性が既にバイクに入れていると言っているので。



山の頂上に着いた千尋は、遠くに見える海と街の状態を見て愕然とします。
そして姿が見えない蒼太にどうしたのかと不安に思いながらも、どこかで生きている、山に向かっているに違いないと
自分に言い聞かせるのでした。



技術がいくら進んでいても危機管理を怠っていると、いつ起こるか分からない自然災害や戦争が起こった時に
昔と同じ大惨事が繰り返されるのではないかと感じています。
日本は地震大国ですから数年の単位で建築基準法が改正されて、最近の建物は地震が来ても倒壊しないようになっていると思いますが
なかにはコストカットのために建築基準法で決まっている基準以下の材料を使用していたり、昔の建物がまだそのまま残っていたりと
倒壊の可能性がある建物がありますよね。
国の方で援助するから、地震が来ても倒れない建物に改築しなさいというのであればみんなやると思うんですけど
国の予算は決まってますから、それはいくらなんでも無理でしょうしね(^^::
なのでやっぱり各個人で非常事態が起こったらどうするかっていうのをあらかじめ決めておいた方がベストなんじゃないかと思います。
いつ地震が来るのか本当に分からないですからね。最近も北海道で地震があったばかりですしね。



今回地震と津波ということで、その直後の街の様子とか津波の描写とか書くのがとても難しかったというか
書いていて複雑でした。あまり表現ができてないなとも感じています。
東日本大震災当時の事を思い出さざるを得なくなって、さらにトルコ・シリアの地震もあって、どうしてこんな時に起こったんだろうって
なんてタイミングなんだって思いました。
私は当時は都内だったので、直接被災した訳ではなかったですが、震災で家や家族を失った方々はもっと辛い思いをしたと思います。
トルコ・シリアで被災された方々もこれからしばらくの間辛いでしょうね・・・・・。



今回のタイトルも最後に決めました。
「変えられた現在」にするか「ゆがめられた現在」にするかかなり迷いましたが
ある人物によって変えられたということで前者にしました。
ある人物とは誰なのか?白髪の男性は知っているようですが・・・・・・それはもうしばらく先の話です。



蒼太と白髪の男性が向かった先はどこなんでしょうか。
変わってしまった現在を元に戻すことはできるのでしょうか。
そして千尋と蒼太は再会できるのでしょうか。
次回をお楽しみに。



今回も最後までお読みいただきありがとうございました。