受け継ぐもの production notes



10月もあと数日で終わるというのに、いつまでも暑いですね。
数年前から異常気象が続いていますが、今年は特に異常だなと感じています。
今後地球の気温が今よりも3度ほど上がるというニュースもあります。
そのうち、近いうちに地球が壊れるんじゃないかと危機感を感じています。
気温上昇により北極と南極の氷が解けて、海面が上昇し小さな島がなくなってしまう可能性もあります。
そのうち日本も海面上昇で沈没するのではないかとも感じています。
昔、小松左京さんの作品で映画にもなりました「日本沈没」ですが、現実味を増してきているような気がします。
数年前ドラマでリメイクされましたが、興味のある方は映画版も見てみてください。



このまま続けていると、それだけで終わってしまうかもしれないのでここで止めておきます。
今回の話について書いていこうと思いますが、今回でヒメル編は最後になりました。
先に今回使った平沢さんの曲について書いて行こうと思います。



今回は2曲。1曲目は前回と同じ「鉄切り歌」です。
前回はマリアが美術商の店主に捕まり、ボスが家に案内するところで終わりましたが
今回は最初から美術商の店主が警察に捕まった後、ホーパスが大きな羽根を持った人を見たところまでを使っています。
特に力を入れていたところのひとつがまさしく大きな羽根を持った人が出てくるシーンです。
このシーンは「鉄切り歌」の下記の歌詞から思いつきました。



空を見ろと聞こえた
胸の声の束の間
天高く行く人を見た
思慮の羽で飛ぶ声

空の星座へ
空の星座へ
空の星座へ
空の星座へ



これは3番の歌詞です。
1,2番は「そら ワッセーラ エーイ」なのですが3番では「空の星座へ」に変わってるんですね。
このあたり言葉選びがうまいなと思いました。どうやったらそんなことを思いつくんだろうと感心するばかりです。
「空の星座へ」の部分まで本当は使いたかったのですが、夜空でないと星は見えないのでそれはあきらめました。
「空を見ろと聞こえた 胸の声の束の間」のところは色々考えましたが、ホーパスが空を見るように声を上げる形にしました。
「天高く行く人を見た」というのはホーパスとボスだけで、それ以外のアルマス達は見えていないのです。
なぜ2人にしか見えていないのかというと、大きな羽根を持った人というのはボスのセリフで分かると思いますが、ボスの父親。
ボスの父親は既に亡くなっていて、金の象の彫刻は父親から受け継いだもの。
さらにフランシスのセリフにあったように、ボスの祖先はヒメルを作った人であり、空の神々とも近い関係にあった。
なので後ろ姿だけでしたが、ボスには父親の姿が見えていたんですね。
ホーパスがなぜ見えていたのかというのは、もう分かると思いますが・・・・・ホーパスは幽霊ですでに亡くなっているからですよね。
なら、なぜ娘のマリアは見えていないのか?まだ金の象の彫刻を受け継いでいないからなんですよね。



上の歌詞から、上記のネタを思いついて、そのシーンにつなげるためにどう展開していったらいいのか。
金の象の彫刻をどのように扱うか、かなり考えました。
代々受け継がれてきたものという設定にしたのはいいけれど、それが他の関係ない部外者に盗られようとした時にどうなるか?
彫刻から蛇やゾンビが出てくるとか(^^::も考えましたが、それだとホラーになってしまうので、彫刻が怒って地震を起こし、最後は自らが動く
設定になりました。



またロビンとブルーノがどう動くかというのも考えました。
前回の最後にロビンが何かを見つけて終わりましたが、それであまり展開を広げたくはなかったので
鍛冶場にいたじいさんの指輪だったという設定にして、そこから他の村人達のももしかしたら盗まれていないか?という話になり
2人で警察と他の村人達を呼ぶということで落ち着きました。
ブルーノがボスの家に飛行機で行くっていうのも考えてはいたんですけど、そこからの展開が難しかったので却下しました。



今回の悪役、美術商の男女。
名前をつけるかどうか最初迷ったのですが、つけずにそのまま進めてしまいました。
最後は助けに来たと勘違いして警察にあっさり捕まってしまうという、まぬけな2人でしたね。
今回の悪役はヒメル編を書き始めた頃は考えてなくて、途中からやっぱり悪役はいた方がいいなということになり
登場させました。なのであまり細かい設定は考えてなくて、話の展開に身を任せる形にしました。



そういえばボスも最後まで名前をつけませんでした。
ボスがアルマス宛ての手紙のところで、最後に名前を書こうか書かないか迷いましたが
そこは名前を考える余裕がなかったということで勘弁してください(^^::



2曲目は「CODE-COSTARICA」
これは後半のアルマスとホーパスがヒメルを旅立っていくシーンをメインにしました。
本当はこの曲を全体のメインにしたかったのですが、前回キリの悪いところで終わったので
仕方がなく2曲使うことになりました。
でも、終わってみるとこの使い方でよかったような気がします。
曲のタイトルが「CODE-COSTARICA」なので、マリアがアルマスに最後に渡すものを謎めいたコードが書かれた紙にしようかと
考えていたのですが、その先どうするかかなり苦労しそうだったので却下。
複雑にしてしまうと、自分の首を絞める形になりそうな気がしたので(^^::
それで考えたのが、あの羽ということになりました。
ヒメルはどういう意味なのかはもうお分かりの方はいると思いますが、スウェーデン語で「天空」という意味。
なので空に関するアイテムを最後にマリアからアルマスに渡したい。
前のフラーマ編では「炎」だったので指輪にしたのですが、今回も指輪にするのは抵抗があったので
空を連想させるものとして羽になりました。



この曲に関しては歌詞よりも音でした。
「さよなら会う日まで」という歌詞があり、ヒメル編の最後に使おうとも考えてました。
でも歌詞よりもサビの部分の音が特徴的でそれをラストシーンに使おうと思いました。
最後、エレベーターがだんだん下がって行くのに、なぜか浮遊感を感じるアルマス。
下から強風が吹いてきて、アルマスの身体が浮き上がり、ホーパスと一緒に浮遊を楽しんでいるところで終わるのですが
この部分をサビの電子音から思いつきました。



それがこの歌詞の部分です。



螺旋状に夢を降り
裏口を探せ
CODEはCOSTARICA
ララララ



この部分は平沢さんの裏声が美しいですね。
5月のライブでもこの曲をやっていて、レーザーハープを最後にビシッと決める平沢さんがかっこよかったです。



それにしてもエレベーターって不思議な乗り物ですよね。
ただ上下に動いているだけなのに、上から下に下がる時って一瞬ふわっと浮遊感を感じる時ありませんか?
逆に下から上に上がる時は耳がキーンとなったりします。すぐ元に戻るのですがなんだか気味が悪いです。
そのエレベーターの浮遊感とこの曲のサビの電子音・・・・歌詞では「夢を降り」なのに音では下からだんだん上へと上がっていく。
そこから考えたのがラストシーンだったというわけです。



今回のタイトル「受け継ぐもの」は最後に決めました。
「受け継がれるもの」にしようかとも一瞬思いましたが、それだと受動的な意味合いになるのでそれだと違うような気がして
「受け継ぐもの」にしました。
「受け継ぐもの」の「もの」はなぜひらがなにしたのかというと2つの意味を意図的に入れています。
今回金の象の彫刻を巡って騒動がありましたが、金の象の彫刻は「もの」。
それを先代から受け継いだボスは人としての「者」ということです。



「受け継ぐもの」は人やものだけではありませんよね。
例えば「伝統」「技術」「仕事を受け継ぐ」とも言いますよね。
また議員の世襲もそうですよね。両親が議員で子供がそれを受け継ぐっていう・・・。
その子供が議員に相応しい人であれば問題ないんですけれど(^^:: 今まさに世襲議員が問題になってますよね。
今特に日本古来の伝統芸能を受け継ぐ人がいなくて困っている。そのうちなくなっていくんじゃないかっていう伝統芸能もありますけど
古き良きものは長く続いてほしいですよね。
昔から続いていて、良き部分は残しながら、現代の新しい技術というか、新しい思考というか・・・・・。
昔の良きものに現代の良きものをプラスしながら、長く続けていってほしいなと思います。



今回でヒメル編は終わりました。
次回からはまた新しい国、ヴァッテン編になります。
ヴァッテンはスウェーデン語で「水」。
今の時点でどうするかネタはまだ固まっていません(^^::
ただ現時点で言えることは、次回からは苦手なシーンが入ってくるということです(^^::
苦手なシーンとは何か?前から私の長編を読んでいる方はもうお分かりですよね。
曲もまだセレクト中です。
今はひたすら「水」のついた曲を探して聴いてますが、果たしてどうなるのでしょうか。
いつもの通り、あまり期待はせずに気長にお待ちください(^^::



今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もお楽しみに。